
令和8年度診療報酬改定で新設された包括型訪問看護療養費について、厚生労働省が令和8年9月25日に「疑義解釈資料の送付について(その13)」を出しました。この記事では、包括型訪問看護療養費の対象・要件・金額を告示・通知の原文から整理し、その13の内容を解説します。
結論を先に|包括型訪問看護療養費とは何か、その13でわかった「算定できない日」
包括型訪問看護療養費は、24時間の対応体制で計画的または随時の頻回な訪問看護を行う場合に、1日単位で算定できる包括評価です(告示第74号 注1)。その13の訪問看護の問答は1問だけです。留意事項通知(保発0305第19号)第4の1の(2)(特別の関係にある医療機関等が往診料等を算定した日は訪問看護療養費を算定できない、という規定)を引いて、この規定にあたる場合に包括型訪問看護療養費を算定できるかを問うもので、答えは「算定不可。」です。通知には、包括型訪問看護療養費を算定するときは第4の1から7までの要件を満たすこと、という定めもあります(第7の11)。
包括型訪問看護療養費とは(対象の建物・利用者)
対象となる建物・利用者は、留意事項通知(保発0305第19号)「第7 包括型訪問看護療養費について」1に定めがあります。
対象となる建物は、訪問看護ステーションが隣接(同一敷地内を含む)または併設する、サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等の集合住宅等で、包括型訪問看護療養費を算定する利用者が居住するものとして地方厚生(支)局長等へ届出を行った建物です(通知 第7の1のア)。
対象となる利用者は、通知 第7の1のイ・基準告示第2の12により、訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)を算定する者を除き、次のいずれかに該当する者とされています。
- 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
- 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
- 特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者
別表第七・第八に挙げられている疾病等は、特掲診療料の施設基準等の原文でご確認ください。自事業所の利用者が該当するかどうかは、原文にあたるか、管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。また、同じ建物の中でも、対象となる利用者とならない利用者が混在することがあります。告示第74号 注5・注6では、対象者に1日2回以上の訪問を行った場合は包括型に限り算定し、対象に該当しない利用者に指定訪問看護を行った場合は、従来の訪問看護基本療養費など(区分番号01から03まで及び05から08までのうち要件を満たすもの)を算定すると整理されています。
算定の要件(回数・時間帯・看護職員・記録・説明と同意)
包括型訪問看護療養費の算定には、対象の建物・利用者であることに加えて、次の要件があります。
- 日中及び夜間帯(午後6時〜午前8時)に少なくともそれぞれ1回ずつ訪問すること。実施時間が1日60分以上の場合は1日3回以上実施すること(告示 注3)
- 1日に1回以上、看護職員(准看護師を除く)による指定訪問看護が含まれること(告示 注4)
- 訪問看護計画書及び訪問看護記録書は電子的方法によって記録し、実施内容・実施時間を記録書に記載すること(告示 注7)
- 24時間の対応体制での頻回の指定訪問看護が行われる場合は、利用者の状況等によって算定することをあらかじめ説明し、同意を得ること(通知 第7の2)
- 管理者等(ステーションの管理者、または当日の指定訪問看護の責任者〔看護職員(准看護師を除く)に限る〕)が、訪問看護計画書を1日1回以上確認し、必要に応じて見直すこと(通知 第7の7)
「単一建物居住利用者の人数」は、当該建物(同一敷地内を含む)に居住する者のうち、同月に当該ステーションが包括型または訪問看護管理療養費を算定する者の人数をいいます(通知 第7の3)。訪問看護時間は、看護目標及び計画書に沿って1日に行った時間の合計です(通知 第7の4。同日複数回の場合は合算=告示 注2)。
金額の表(後述)の「ニ」(90分以上・別に厚生労働大臣が定める場合)を算定するには、基準告示第4の3に該当する場合であって、緊急時対応を含め24時間対応できる体制があり、かつ利用者全員の実施時間が1日平均120分以上である場合、という追加要件があります(通知 第7の5・基準告示第4の3)。
なお、通知 第7の11には、次のなお書きがあります。
なお、包括型訪問看護療養費を算定するに当たっては、第4の1から7までの「訪問看護基本療養費及び精神科訪問看護基本療養費の共通事項について」(ただし、第4の2に規定する標準とする指定訪問看護の実施時間に関する規定を除く。)、第5の1の訪問看護管理療養費及び第5の2の24時間対応体制加算の要件を満たすものであること。
つまり通知は、既存の共通事項(第4の1から7まで。標準実施時間の規定を除く)の要件を包括型にもあてはめると定めています。後述するその13の問答(第4の1の(2))は、この一文が足場になっていると読めます。
いつから・どの事業所が対象か(届出の要否)
包括型訪問看護療養費を含む令和8年度診療報酬改定は、令和8年6月1日から実施されています。包括型訪問看護療養費を算定するには、訪問看護ステーション自体の基準適合の届出と、対象とする建物についての届出の、2つの届出が必要です(告示第74号 注1)。どちらも地方厚生局長等への届出が前提になるため、届出を行っていない訪問看護ステーションは、いま算定することはできません。
告示 注1の「別に厚生労働大臣が定める基準」は、基準告示 第1の7「包括型訪問看護療養費の基準」⑴〜⑼に定めがあります(要旨。漢数字は算用数字に直しています)。
- 高齢者向け住まい等に併設又は隣接する訪問看護ステーションであること
- 届出時に、併設又は隣接する建物をステーションにつき1か所指定し、24時間体制で計画的又は随時の指定訪問看護を行える体制が整備されていること
- 包括型の利用者及び単一建物の他の利用者(区分番号01〜03・05〜08を算定する者)に、それぞれの要件を満たす訪問看護を実施するに十分な看護職員等の配置がされていること
- 「ハ」又は「ニ」を算定する利用者には、夜間帯(午後6時〜午前8時)の対応看護職員数を常時1名以上(利用者数合計31以上80以下は2以上、81以上は50又はその端数を増すごとに1を加えた数以上)とすること
- 医療安全管理及び衛生管理に関する組織的な取組を行っていること
- 地域の保険医療機関又は訪問看護ステーションとの連携について相当な実績を有すること
- 厚生労働大臣が実施する調査に適切に参加していること
- 指定訪問看護に係る記録を電子的に行っていること
- 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
包括型の実務は、当ステーションの過去記事「同一建物居住者への訪問看護 ― 評価の細分化を徹底解説」でも取り上げています。あわせてご確認ください。
金額(訪問看護時間×単一建物居住利用者の人数)
包括型訪問看護療養費の金額は、その日に実施した訪問看護時間と、単一建物居住利用者の人数によって決まります(告示第74号 区分番号04)。
単一建物居住利用者が20人未満の場合
| 訪問看護時間 | 金額(1日につき) |
|---|---|
| イ 30分以上60分未満 | 7,010円 |
| ロ 60分以上90分未満 | 11,010円 |
| ハ 90分以上 | 14,010円 |
| ニ 90分以上・別に厚生労働大臣が定める場合 | 15,510円 |
単一建物居住利用者が20人以上50人未満の場合
| 訪問看護時間 | 金額(1日につき) |
|---|---|
| イ 30分以上60分未満 | 6,310円 |
| ロ 60分以上90分未満 | 9,910円 |
| ハ 90分以上 | 13,730円 |
| ニ 90分以上・別に厚生労働大臣が定める場合 | 15,200円 |
単一建物居住利用者が50人以上の場合
| 訪問看護時間 | 金額(1日につき) |
|---|---|
| イ 30分以上60分未満 | 5,960円 |
| ロ 60分以上90分未満 | 9,360円 |
| ハ 90分以上 | 13,450円 |
| ニ 90分以上・別に厚生労働大臣が定める場合 | 14,890円 |
同一日に別に算定できるもの・できないもの
包括型を算定する日は、同じ日に訪問看護基本療養費・精神科訪問看護基本療養費・訪問看護管理療養費を別に算定できません(告示第74号 注8)。
通知 第7の11には、包括型に包括されていて同一日に別に算定できないものとして、次が挙げられています。
- 訪問看護基本療養費(訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)のハを除く)
- 精神科訪問看護基本療養費
- 難病等複数回訪問加算
- 特別地域訪問看護加算
- 長時間訪問看護加算
- 複数名訪問看護加算
- 夜間・早朝訪問看護加算
- 深夜訪問看護加算
- 複数名精神科訪問看護加算
- 精神科複数回訪問加算
- 訪問看護管理療養費
- 24時間対応体制加算
ただし、緊急訪問看護加算及び精神科緊急訪問看護加算は、基準告示第4の3に規定する場合であって「ニ」(1のニ、2のニ及び3のニ)を算定する場合を除き、別に算定できます(通知 第7の11、告示第74号 注8)。それ以外の組み合わせの可否は、告示 注8・通知 第7の11の原文でご確認ください。
その13でわかったこと|「算定できない日」の正しい読み方
その13の訪問看護の問答(別添2・訪看-1・問1)は、次のとおりです(原文のまま引用します)。
問1 「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和8年3月5日保発0305第19号)の「第4 訪問看護基本療養費及び精神科訪問看護基本療養費の共通事項」1の(2)において、「訪問看護ステーションと特別の関係にあり、かつ、当該訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した医師が所属する保険医療機関等において、往診料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、在宅がん医療総合診療料、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料又は在宅患者訪問栄養食事指導料(略)のいずれかを算定した日については、当該訪問看護ステーションは訪問看護療養費を算定できない」とあるが、当該医療機関と特別の関係にある訪問看護ステーションにおいて、包括型訪問看護療養費を算定することは可能か。
(答)算定不可。
この問答が引いている留意事項通知(保発0305第19号)第4の1の(2)の原文(主文とただし書き・例外)は、次のとおりです。
(2) 訪問看護ステーションと特別の関係にあり、かつ、当該訪問看護ステーションに対して訪問看護指示書を交付した医師が所属する保険医療機関等において、往診料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、在宅がん医療総合診療料、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料又は在宅患者訪問栄養食事指導料(以下第4の1において「往診料等」という。)のいずれかを算定した日については、当該訪問看護ステーションは訪問看護療養費を算定できない。
ただし、次に掲げる場合はこの限りではないこと。
ア 当該訪問看護ステーションが指定訪問看護を行った後、利用者の病状の急変等により、保険医療機関等が往診を行って往診料を算定した場合
イ 利用者が保険医療機関等を退院後1月を経過するまでに往診料等のいずれかを算定した場合
ウ 在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定に必要なカンファレンスを実施する場合であって、当該利用者に対して、継続的な訪問看護を実施する必要がある場合(ただし、医科点数表の区分番号C001に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅰ)、区分番号C001-2に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅱ)、区分番号C009に掲げる在宅患者訪問栄養食事指導料を算定する場合に限る。)
ここは事実と読みを分けて整理します。事実として、上の引用のとおり、この(2)の主文は「…のいずれかを算定した日については、当該訪問看護ステーションは訪問看護療養費を算定できない」で終わっています(「往診料等」は同(2)本文で定義された略称です)。したがって、この規定は往診料等を算定した日についての規定と読めます。その13の問答は、この(2)が包括型訪問看護療養費にもあてはまることを確認したものであり、答え自体は「算定不可。」の一言のみで、上記のただし書き・例外ア〜ウにあたる日の扱いや、そのほかの日の限定については述べていません。実際の算定日がア〜ウの例外にあたるかどうかは個々の事情によって変わるため、迷う場合は管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
なお、同じ留意事項通知の第4の1には、(2)よりも前に(1)として、別の「算定できない」規定もあります。こちらは、同一の利用者が保険医療機関で在宅患者訪問看護・指導料等(医科点数表の区分番号C005・C005-1-2等)のいずれかを算定した月においては訪問看護療養費を算定できない、という規定で、区切りが「日」ではなく「月」単位です(要旨)。(1)と(2)は対象になる算定項目も例外も異なるため、どの規定にあたる話かを取り違えないようご注意ください。
「特別の関係」とは
留意事項通知第4の1の(3)では、(2)にある「特別の関係」について、「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』(令和8年3月5日保医発0305第6号)の別添1第1章第2部通則7の(3)に規定する関係をいう」としています。つまり「特別の関係」の中身は、医科診療報酬点数表側の別の通知で定義されています。自事業所が「特別の関係」にあたるかどうかは、原文にあたるか、管轄の地方厚生(支)局にご確認ください。
事業所がいま確かめること
- ステーション・建物それぞれの届出を行っているか
- 対象の利用者(基準告示第2の12に規定する者)にあたるか確認したか
- 日中・夜間帯それぞれ1回以上、60分以上なら1日3回以上という回数の要件、看護職員による訪問を1日1回以上含める要件を満たしているか
- 訪問看護指示書を交付した医師の所属医療機関を把握し、自事業所と「特別の関係」にあたるかを地方厚生(支)局に確認したか
- 特別の関係にある場合、その医療機関が往診料等を算定した日を把握し、その日の算定を控える体制になっているか(急変時の往診・退院後1月以内・褥瘡カンファレンスなどの例外にあたらないかも個別に確認)
- 算定日に、24時間対応体制加算など別に算定できないものを誤って算定していないか
いずれも一次情報の原文にあたることが基本ですが、個別の判断は管轄の地方厚生(支)局に確認するのが確実です。疑義解釈は追加で出されることがあるため、最新の疑義解釈もあわせてご確認ください。
よくあるご質問
包括型訪問看護療養費とはどんな制度ですか?
24時間の対応体制で、計画的または随時の対応による頻回の指定訪問看護を行う場合に、1日単位で算定できる包括評価です。その日の訪問看護時間と単一建物居住利用者の人数の組み合わせで金額が決まります(告示第74号 注1・区分番号04)。
包括型訪問看護療養費の対象となる建物・利用者は何ですか?
建物は、訪問看護ステーションが隣接・併設するサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等で、包括型を算定する利用者が居住するものとして届出を行った建物です。利用者は、訪問看護基本療養費(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する者を除き、特掲診療料の施設基準等別表第七・第八に掲げる者、または特別訪問看護指示書に係る指定訪問看護を受けている者です(通知 第7の1、基準告示第2の12)。
包括型訪問看護療養費に24時間対応体制加算は別に算定できますか?
できません。24時間対応体制加算は包括型訪問看護療養費に包括されており、同一日に別に算定できません(通知 第7の11)。一方、緊急訪問看護加算・精神科緊急訪問看護加算は、「ニ」を算定する場合を除き別に算定できます。
包括型訪問看護療養費はいつから始まりましたか?
包括型訪問看護療養費を含む令和8年度診療報酬改定は、令和8年6月1日から実施されています。
その13で訪問看護に関する変更はありましたか?
その13の訪問看護の問答は1問です。留意事項通知(保発0305第19号)第4の1の(2)(特別の関係にある医療機関等が往診料等を算定した日は訪問看護療養費を算定できない、という規定)を引いて、この規定にあたる場合に包括型訪問看護療養費を算定できるかを問うもので、答えは「算定不可。」です。通知には、包括型訪問看護療養費を算定するときは第4の1から7までの要件を満たすこと、という定めもあります(第7の11)。
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府中よりそい訪問看護ステーションは、東京都府中市を中心に精神科訪問看護を行っています。制度に関するご相談や連携のご相談は、お問い合わせページまたは電話(042-508-3434)で承っています。
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出典(すべて公的機関)
- 厚生労働省保険局医療課「疑義解釈資料の送付について(その13)」令和8年9月25日事務連絡
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号)
- 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保発0305第19号)
- 訪問看護療養費に係る訪問看護ステーションの基準の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第75号)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」


