
「最近、同じことを何度も聞くようになった」
「料理の手順が、急にわからなくなる日がある」
「外出先から、家までの道がわからなくなって泣いて電話してきた」
府中市で精神科・認知症ケアの訪問看護をしている私たちのもとには、ご本人の変化に気づいたご家族から、こうしたご相談が日々寄せられます。
認知症は「ご本人だけ」の病気ではありません。
長く一緒に暮らしてこられたご家族にとっても、生活と気持ちの両面で揺れの大きい時期がやってきます。
このページでは、府中よりそい訪問看護ステーションが、認知症のご本人とご家族のもとへ伺うとき、毎回の訪問で大切にしていることを、3つのポイントにまとめてお伝えします。
「訪問看護に何をお願いできるのか」「ケアマネさんに相談する前に、雰囲気を知っておきたい」というご家族にこそ、読んでいただきたい内容です。
認知症の訪問看護って、実際に何をしてくれるの?
「訪問看護」と聞くと、点滴や採血のような医療処置をイメージされる方が多いかもしれません。
でも、認知症の訪問看護で実際に行っているのは、ご本人の暮らしを支えるための、もっと地味で、もっと細やかなことです。
たとえば、こんなことをしています。
- 体調・血圧・睡眠・食事の様子を確認し、「いつもと違う」変化に早く気づく
- お薬がきちんと飲めているか、飲み忘れ・飲み間違いがないかを一緒に確認する
- ご本人のペースで、季節や曜日の感覚をやさしく取り戻すお手伝いをする
- ご家族から「最近こんなことがあって…」というお話をうかがい、対応を一緒に考える
- 必要に応じて、主治医・ケアマネジャー・デイサービスの方々と情報を共有する
「医療」と「暮らし」のあいだに立って、ご本人とご家族の安心を守る。
それが、認知症の訪問看護で私たちがしていることです。
訪問看護が毎回大切にしている3つのこと
認知症のあるご本人への訪問看護では、私たちが毎回大切にしていることが3つあります。
①ご本人の「物語」を聞く
認知症が進んでも、ご本人がこれまで歩んでこられた人生は変わりません。
どんな仕事をされていたのか、どんなご家族と過ごしてこられたのか、好きだった食べもの、よく出かけた場所――。
こうしたご本人の「物語」をうかがうことは、ただの世間話ではありません。
ご本人が「自分は自分のままでいていい」と感じられる時間になり、看護のなかでもっとも大切な、安心と信頼の土台になります。
同じお話を何度繰り返してくださっても、私たちは初めて聞くように、ていねいにうなずきます。
ご本人にとって、その時間は「いま、ここで、自分が大切にされている時間」だからです。
②生活の小さな”いつも”を守る
認知症のあるご本人にとって、毎日の「いつも」が変わらずに続くことは、とても大きな安心になります。
- 朝起きたら、決まった場所でお茶を飲む
- お昼は同じ時間に、同じ食卓で食べる
- 夕方になったら、いつもの番組を一緒に見る
こうした生活の小さな”いつも”を守るために、訪問看護師は、お薬の管理・体調確認・水分や食事の様子・排泄のリズムまで、暮らしの全体を見守ります。
「最近、お昼ごはんを食べたかわからなくなる」「水を飲むのを忘れて脱水になりかけた」――そんな変化があれば、ケアマネジャーやご家族と相談しながら、デイサービスの曜日を増やす、ヘルパーさんに入っていただくなど、暮らしを支える仕組みを一緒に整えていきます。
③ご家族の「燃え尽きサイン」に、早く気づく
認知症のケアでもっとも見過ごされやすいのは、実はご家族のしんどさです。
- 夜中に何度も起こされて、ぐっすり眠れていない
- 「また同じことを聞かれた」と、つい強い口調で返してしまう自分がいる
- 外出が減って、自分の時間がほとんどない
- 誰にも相談できないまま、涙が出る日が増えた
こうしたご家族の「燃え尽きサイン」に、訪問看護師は早めに気づきます。
ご本人へのケアと同じくらい、ご家族の声に耳を傾け、ショートステイの利用、デイサービスの追加、必要に応じて主治医・ケアマネジャーへの橋渡しなど、ご家族が倒れない仕組みを一緒に考えます。
「介護はがんばらないといけない」と思いつめていらっしゃるご家族ほど、私たちは早く気づきたいと思っています。
30分の訪問で、実際にしていること
1回の訪問は、おおむね30分程度です。
そのなかで、たとえば次のようなことをしています。
- 体温・血圧・脈拍・酸素飽和度などのバイタル確認
- 睡眠・食事・水分・排泄の様子のヒアリング
- お薬カレンダーの確認、残薬チェック、必要に応じてセット
- ご本人との会話、最近の出来事のうかがい
- ご家族から見た最近の変化のヒアリング
- 気になる変化があれば、主治医やケアマネジャーへの連絡相談
「30分でそんなにできるの?」と思われるかもしれませんが、毎週・毎回の積み重ねで、ご本人の状態の細かな変化に気づくことができます。
変化に早く気づければ、入院や転倒といった大きなトラブルを未然に防げる場合もあります。
認知症専門医・青栁先生との連携体制
府中よりそい訪問看護ステーションのいちばんの強みは、認知症専門医・青栁先生との連携体制にあります。
青栁先生は、長年、認知症医療と精神科医療の両方の臨床に携わってこられた医師です。
当ステーションは青栁先生と日々情報を共有しながら、認知症のあるご本人へのケアの質を保っています。
具体的には、次のような連携を行っています。
- 「最近、急に怒りっぽくなった」「夜中のひとり歩きが増えた」といった気になる変化を、訪問看護からチームに共有
- お薬の見直しが必要そうなときは、主治医の先生と相談しやすいよう、訪問看護記録として情報を整理
- ご家族が抱えていらっしゃる困りごとを、医療側にも届くかたちで言葉にする
「認知症のことを、安心して相談できるところが近くにない」
そう感じておられるご家族のために、私たちは医療と暮らしのあいだをつなぐ役割を大切にしています。
ご利用までの流れと費用
認知症の訪問看護は、多くの場合、介護保険でご利用いただけます。要介護認定(要支援を含む)を受けておられる方は、ケアマネジャーが作成するケアプランに「訪問看護」を入れていただくことで、すぐにご利用を始められます。
まだ介護保険の認定を受けておられない場合は、お住まいの市区町村の地域包括支援センターでご相談いただくか、私たちにお声がけいただければ、申請の流れもご案内します。
費用については、介護保険のご利用であれば、原則1〜3割の自己負担で訪問看護をお受けいただけます。所得に応じた月額の上限が設けられているため、安心してご利用いただける制度です。
主治医の先生からの「訪問看護指示書」と、ケアマネジャーが作成するケアプランの両方が整った段階で、訪問の曜日・時間帯をご家族とご相談しながら決めていきます。
「うちの場合は介護保険で使えるのかな」「ケアマネさんに、なんと相談していいかわからない」という方は、お電話・お問い合わせフォームのどちらでも、ご家族にとって楽な方法でご連絡ください。
制度の使い方や利用までの流れも、ていねいにお伝えします。
府中よりそい訪問看護ステーションの特徴
府中よりそい訪問看護ステーションは、精神科・認知症ケアに特化した訪問看護チームです。
府中市・調布市・国分寺市を対応エリアとして、精神科・認知症ケアの経験を重ねてきた看護師・作業療法士が、ご本人とご家族の暮らしに寄り添っています。
認知症のあるご本人とご家族への訪問看護では、次のような体制を整えています。
- 認知症専門医・青栁先生との体制:認知症医療の臨床現場と日々情報共有しながら、ケアの質を保っています
- 主治医・ケアマネジャー・ご家族・地域の支援者との連携を最重視:ご本人を中心に、関係者がチームになって支える体制を大切にしています
- ご家族のしんどさにも、同じ熱量で関わる:ご本人へのケアと同じように、ご家族のお気持ちも大切に伺います
「認知症のことを、誰に・どう相談していいかわからない」というご家族こそ、まずは一度ご相談ください。
すぐに訪問看護を始めなくても大丈夫です。お話をうかがって、いまのご家族にとっていちばん良い形を一緒に考えます。
まとめ
認知症の訪問看護で、私たちが毎回大切にしているのは、次の3つです。
- ご本人の「物語」を聞く
- 生活の小さな”いつも”を守る
- ご家族の「燃え尽きサイン」に、早く気づく
そして、そのすべてを支えているのが、認知症専門医・青栁先生との連携体制と、主治医・ケアマネジャー・地域の支援者とのチームでの関わりです。
認知症は、ご本人にとってもご家族にとっても、ゆっくり時間をかけて向き合っていくものです。
「がんばらなくちゃ」「自分が支えなくちゃ」と抱え込まずに、私たち訪問看護師にも、その時間の一部を一緒に過ごさせてください。
よくある質問
Q1. 認知症の診断がはっきりしていなくても利用できますか?
A. まだ診断が確定していない段階でも、ご本人の様子に変化を感じておられるご家族からのご相談は歓迎しています。要介護認定を受けておられない場合は、地域包括支援センターやかかりつけ医への相談からご一緒に進められますので、お気持ちが揺れている段階でも、まずはお声がけください。
Q2. 一人暮らしで認知症のある親の遠方介護でも、訪問看護は使えますか?
A. はい、ご家族が遠方にお住まいでも、ご本人がお住まいの地域の訪問看護をご利用いただけます。訪問のたびに、お電話やメールでご家族にも様子をお伝えできますので、「離れていて様子が見えない」というご不安を、できるだけ軽くするお手伝いをします。
Q3. 夜中に困ったとき、相談できる窓口はありますか?
A. 24時間対応の契約をいただいている方は、夜間・休日もご家族からのお電話を受けることができます(24時間対応体制加算)。「夜中のひとり歩きで困った」「急に体調が変わって不安」といった緊急時に、看護師が電話でお話をうかがい、必要に応じて訪問・主治医への相談へとつなぎます。
Q4. 主治医の先生やケアマネジャーとは、どのように連携していますか?
A. 主治医の先生からの「訪問看護指示書」とケアマネジャーが作成するケアプランにもとづいて訪問を行い、毎月の訪問内容や様子を「訪問看護報告書」「サービス担当者会議」を通じて関係者にお戻ししています。気になる変化があったときには、ご本人・ご家族の同意のうえで、随時主治医・ケアマネジャーにご報告・ご相談しています。
ご本人の物忘れにとまどっておられる方、ご家族としての関わり方に迷っておられる方は、府中よりそい訪問看護ステーションまでご連絡ください。
お電話でもお問い合わせフォームからでも、看護師がていねいにお話をうかがいます。
