
「主治医に、自立支援医療を申請してはどうかと言われた」「名前は聞いたことがあるけれど、どこで何をすればいいのか分からない」。精神科やこころのクリニックへの通院を続けている方やご家族から、こうした声をうかがうことがあります。
自立支援医療(精神通院医療)は、通院にかかる医療費の自己負担を軽くする公的な制度です。ただ、申請の受付はお住まいの区市町村の窓口とされているため、実際に動こうとすると「多摩市ではどこに行くのか」という、市ごとの情報が必要になります。この記事では、多摩市での申請窓口・必要書類・受給者証の更新の流れを、多摩市公式ホームページと東京都福祉局の案内にもとづいて整理しました。
多摩市にお住まいで、自立支援医療(精神通院医療)の申請を考えている方へ
自立支援医療の情報は、少し探しにくいところがあります。制度の解説は全国向けのものが多く、いざ申請しようとすると、窓口の場所や持ち物といった「自分の市の情報」にたどり着くまでに手間がかかるためです。
そこでこの記事では、制度のしくみの説明は最小限にとどめ、多摩市での申請実務に絞って書いていきます。内容は2026年9月2日時点で、多摩市公式ホームページ(2026年1月19日更新)と東京都福祉局のページ(2026年8月6日更新)で確認したものです。手続きの詳細や最新の運用は、多摩市の窓口でご確認ください。
自立支援医療(精神通院医療)とは、どんな制度か
自立支援医療(精神通院医療)は、精神疾患のために通院している方の、通院医療費の自己負担を軽くする制度です。多摩市の案内では、対象者は「精神疾患のため通院している方(年齢制限はありません)」とされ、所得制限により対象外となる場合があることも書かれています。
対象になるのは入院しないで行われる医療で、指定を受けた医療機関などで使います。申請が認定されると「自立支援医療費受給者証」が交付され、これを窓口で提示して使うしくみです。なお、東京都福祉局の案内では、精神通院医療の対象となるかどうかは症例ごとに医学的見地から判断されるとされています。ご自身が対象になりそうかどうかは、まず主治医に相談してみてください。
制度そのもののしくみや、自己負担が軽くなる理由といった一般的な話は、自立支援医療のしくみと、月の自己負担を下げる考え方【Vol.33】に詳しくまとめています。この記事では重複を避けて、多摩市での手続きに進みます。
多摩市の申請窓口|障害福祉課 障害福祉係
多摩市の担当窓口は、障害福祉課 障害福祉係です。
- 所在地: 〒206-8666 東京都多摩市関戸六丁目12番地1(多摩市役所)
- 電話番号: 042-338-6903
申請は、必要書類を持参して障害福祉課へ、という案内になっています。窓口の受付時間や混雑の状況までは、この記事では確認できていません。来庁の前に、上記の電話番号で確認しておくと確実です。
申請に必要なもの(精神通院医療)
多摩市の案内では、精神通院医療の申請に持参するものとして、次の3点が挙げられています。
- 診断書(自立支援用の所定の様式のもの)
- 健康保険証、または健康保険の加入状況がわかるもの(資格確認書の写しや、マイナポータルから確認できる「資格情報画面」などが例として挙げられています)
- マイナンバーを確認できるもの(原本)
このほか、申請の際には、登録する医療機関と薬局の名称・所在地・電話番号を記入する項目があるとされています。通院している医療機関と、いつも使っている薬局の正式名称・住所・電話番号を控えてから行くと、窓口で慌てずに済みます。
申請書の様式は、東京都福祉局の案内によれば、区市町村の担当窓口に置かれています。必要書類は制度の運用によって変わることがありますので、最新の持ち物は障害福祉課にご確認ください。
診断書は、誰に・いつ書いてもらうか
必要書類の中でいちばん準備に時間がかかるのは、多くの場合、診断書です。自立支援医療の診断書は「自立支援用の所定の様式」と決められており、普段発行される一般的な診断書とは別のものです。作成を依頼する相手は、一般には通院先の主治医です。診察の際に「自立支援医療を申請したいので、診断書をお願いしたい」と伝えるところが出発点になります。
東京都福祉局の案内では、診断書は申請日から3か月以内に作成されたものとされています。作成にかかる日数や文書料は、通院先の窓口にご確認ください。
なお、診断書に基づいて交付された精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は、新規申請(再開申請を含む)を手帳の写しで行える場合があります。また、手帳と同時に申請する場合は、手帳用の診断書1枚で申請できるとされています。いずれも条件がありますので、該当しそうな方は窓口で確認してみてください。
申請から受給者証が届くまでの流れ
全体の流れを並べると、次のようになります。
- 主治医に相談し、診断書(自立支援用の所定の様式)を作成してもらう
- 必要書類をそろえて、多摩市役所の障害福祉課に申請する
- 申請書類に基づいて、東京都で審査が行われる
- 認定されると「自立支援医療費受給者証」が交付される
- 受給者証を医療機関などの窓口で提示して利用する
東京都福祉局の案内では、審査等のため、申請から結果を受け取るまでに2か月程度かかるとされています。精神障害者保健福祉手帳との同時申請の場合などは、さらに時間がかかることがあります。
申請してから受給者証が届くまでの間の医療費については、申請書の控えなどを持って、かかっている医療機関に相談するよう案内されています。申請書の控えは、捨てずに手元に置いておいてください。
受給者証が届いたら、受給者証に記載された医療機関などの窓口で、マイナンバーカードまたは医療保険の資格を確認できる書類と一緒に提示します。自己負担上限月額が設定されている方は、「自己負担上限額管理票」もあわせて必要とされています。
受給者証の有効期間は1年|更新はいつから、何が必要か
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。東京都福祉局の案内には、次のように書かれています。
受給者証の有効期間は、新規・再開申請の場合、申請受理日から1年間(1年後の前月末まで)で、更新を希望する方は、継続(更新)申請の手続を行う必要があります。
継続(更新)の申請は、有効期間の満了日の3か月前から行うことができます。審査に2か月程度かかるとされていることを考えると、受付が始まる3か月前に合わせて動き出すくらいが、余裕のある進め方だと思います。
更新の必要書類は、支給認定申請書、診断書(申請日から3か月以内に作成されたもの)、医療保険の加入関係を示すもの、世帯の所得状況等が確認できる書類(区市町村民税課税・非課税証明書等)とされています。
診断書については、有効期間の開始日が平成22年4月1日以降の継続(更新)申請では、提出が2年に1度とされています。ただし、受給者証の有効期間は原則1年のため、更新の手続き自体は毎年必要です。「診断書は2年に1度、手続きは毎年」と覚えておくと整理しやすいと思います。
有効期間を過ぎてしまってからの申請は「再開申請」という扱いになり、診断書の提出が必要になるとされています。期限が切れると書類も手間も増えますので、受給者証の満了日は、カレンダーやスマートフォンに控えておくと安心です。
自己負担はどう変わるか(概要のみ)
自己負担については、多摩市の案内に次のように書かれています。
原則として、医療費の自己負担分が1割になります。世帯の市民税所得割額及び疾患の種類により、ひと月あたりの負担に自己負担の上限額が設定される場合もあります。
上限額がいくらになるかは世帯の所得などによって変わるため、この記事では金額の一覧は書いていません。ご自身の場合の見通しを立てたい方は、自己負担額の計算ツールで試算できます。ツールの考え方や使い方は、自己負担額を自分で試算できる計算ツールの使い方【Vol.57】にまとめています。
また、東京都福祉局の案内では、区市町村民税が非課税の世帯の方について、自立支援医療(精神通院医療)に係る自己負担額分を助成する東京都の制度があることも紹介されています(加入している医療保険による条件があります)。ご自身が該当するかどうかは、窓口でご確認ください。
引っ越し・転居のときの手続き
転居のときの手続きは、引っ越しの内容によって変わります。今回参照した資料で確認できた範囲では、次のとおりです。
東京都福祉局の案内では、氏名・都内住所・医療保険等に変更があった場合は、「記載事項変更届」に、変更事由を確認できる書類と現在の受給者証を添えて、区市町村の窓口へ届け出るとされています。都内での引っ越しは、この手続きが基本になります。
また、転居にともなって通院先の医療機関や薬局が変わる場合は、あらかじめ「変更申請」を行う必要があるとされています。医療機関等の変更は、申請受理日から適用されます。
一方、都外から多摩市への転入や、多摩市から都外への転出の場合の手続きは、今回参照した資料には記載が見当たりませんでした。引っ越しの予定が決まった段階で、早めに障害福祉課へ問い合わせておくと確実です。
精神科訪問看護でも、自立支援医療は使えます
ここからは、私たちの仕事にも関わる部分です。自立支援医療が使えるのは、外来の診察や薬局だけではありません。対象は精神障害に対して入院しないで行われる医療とされており、精神科訪問看護も、この制度の対象になる医療サービスの一つです。
精神科訪問看護は、看護師などが自宅に伺い、体調や生活の様子を確認しながら療養を支えるサービスです。料金のしくみは精神科訪問看護の料金のしくみ【Vol.48】に、若い世代の利用については精神科訪問看護は20代・30代でも使えるのか【Vol.68】にまとめています。多摩市の案内にもあるとおり、自立支援医療に年齢制限はありません。
実務上の注意がひとつあります。自立支援医療は、受給者証に登録した医療機関等で使うしくみです。訪問看護を新しく利用し始めるときは、利用する医療機関等の変更手続きが必要になる場合があります。手続きの要否は、障害福祉課か、利用を考えている訪問看護ステーションにご確認ください。
府中よりそい訪問看護ステーションは、多摩市も対応エリアです
府中よりそい訪問看護ステーションは、府中市にある精神科訪問看護ステーションです。多摩市も対応エリアに含まれています。ただし、多摩市内の一部地域については、お住まいの場所によってはご相談となる場合があります。
対応エリアかどうかは、対応エリアの確認ページで郵便番号を入力すると、その場で確認できます。初回のご相談は無料で、交通費のご負担もありません。
なお、訪問看護の体制や得意分野は事業所ごとに違います。いくつか見比べたうえで、ご本人とご家族に合うところを選んでいただくのがよいと考えています。
訪問看護の利用を考え始めたら
精神科訪問看護は、主治医の指示にもとづいて行われる医療サービスです。利用を考え始めたら、診察のときに主治医に相談してみる方法のほか、訪問看護ステーションに直接問い合わせて、制度のことや利用の流れから聞いてみる方法もあります。
当ステーションへのご相談は、お問い合わせページからご連絡いただくか、お電話(042-508-3434、平日9:00から18:00)でお受けしています。「自立支援医療の申請がまだ済んでいない」という段階のご相談でも差し支えありません。
よくあるご質問
多摩市で自立支援医療(精神通院医療)を申請したいのですが、どこに行けばいいですか
多摩市の担当窓口は、多摩市役所の障害福祉課(障害福祉係)です。所在地は東京都多摩市関戸六丁目12番地1、電話番号は042-338-6903です。必要書類を持参して申請する案内になっています。受付時間などの詳細は、事前に電話でご確認ください。
申請にはどんな書類が必要ですか
多摩市の案内では、診断書(自立支援用の所定の様式)、健康保険証または健康保険の加入状況がわかるもの、マイナンバーを確認できるもの(原本)を持参するとされています。このほか、登録する医療機関と薬局の名称・所在地・電話番号を記入する項目があります。最新の持ち物は障害福祉課にご確認ください。
受給者証の有効期間はどのくらいですか
東京都福祉局の案内では、新規・再開申請の場合、申請受理日から1年間(1年後の前月末まで)とされています。更新を希望する場合は、毎年、継続(更新)申請の手続きが必要です。
更新の手続きはいつから、何をすればいいですか
継続(更新)申請は、有効期間の満了日の3か月前から行うことができます。必要書類は、支給認定申請書、診断書(提出は2年に1度)、医療保険の加入関係を示すもの、世帯の所得状況等が確認できる書類とされています。審査には2か月程度かかるとされているため、早めに手続きを始めると安心です。有効期間を過ぎてからの申請は再開申請となり、診断書の提出が必要になります。
精神科訪問看護を利用するときも、自立支援医療は使えますか
使えます。自立支援医療(精神通院医療)の対象は、精神障害に対して入院しないで行われる医療とされており、精神科訪問看護もその一つです。受給者証に登録した医療機関等で使うしくみのため、訪問看護を新しく利用し始めるときは、利用する医療機関等の変更手続きが必要になる場合があります。詳しくは障害福祉課や、利用を検討している訪問看護ステーションにご確認ください。
参考にした資料
- 多摩市「自立支援医療制度(精神通院・更生医療・育成医療)」(更新日 2026年1月19日)
- 東京都福祉局「自立支援医療(精神通院医療)について」(更新日 2026年8月6日)
- 東京都福祉局「自立支援医療(精神通院医療)」
- 東京都福祉局「指定自立支援医療機関の情報提供(精神通院医療)」(指定の区分に訪問看護事業者等が含まれることの確認に使用)
おわりに
行政の手続きは、「どこに・何を・いつまでに」が見えないうちは、実際より大きな壁に感じられるものだと思います。多摩市の自立支援医療(精神通院医療)は、窓口は障害福祉課、書類の中心は所定様式の診断書、更新は毎年で満了日の3か月前から、と整理してしまえば、見通しの立てやすい手続きです。
府中よりそい訪問看護ステーションでは、多摩市を含むエリアで精神科訪問看護を行っています(一部地域はご相談ください)。通院とあわせて自宅での支えが必要になったとき、選択肢の一つとして思い出していただければ幸いです。ご参考まで。


