訪問看護ステーションの掲示義務|ウェブ掲載は必須?デジタルサイネージは可能?【Vol.67】


訪問看護ステーションの掲示義務 ウェブ掲載は必須 デジタルサイネージによる掲示は可能 Vol.67

訪問看護ステーションには、事業所の見やすい場所に重要事項を掲示する義務があり、2025年6月からはウェブサイトへの掲載も原則として義務づけられています。そして2026年7月17日に発出された疑義解釈資料(その10)で、デジタルサイネージなどの電子的表示による掲示も差し支えないことが示されました。ただし条件が3つあります。この記事では、何を・どこに・どの方法で掲示する必要があるのかを、省令と事務連絡の原文にあたって整理します。あわせて、同じ事務連絡で示された包括型訪問看護療養費の届出に関する取扱いも取り上げます。

この記事は、訪問看護ステーションの管理者・事務担当の方、および紹介元として事業所の体制を確認されるケアマネジャー・医療機関の方に向けて書いています。取り上げるのは医療保険の指定訪問看護に関する基準です。

訪問看護ステーションにも「掲示」の義務があります

病院やクリニックの待合室に、施設基準や明細書発行体制の紙が貼ってあるのを見たことがあると思います。同じ義務が、訪問看護ステーションにもあります。

根拠は「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」(平成12年厚生省令第80号)の第24条です。第1項にこう定められています。

指定訪問看護事業者は、指定訪問看護ステーションの見やすい場所に、運営規程の概要、看護師等の勤務の体制その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項(次項において単に「重要事項」という。)を掲示しなければならない。

「掲示しなければならない」と書かれている以上、これは努力義務ではありません。運営基準に定められた義務ですので、整っていない状態を放置しないほうがよい項目です。

何を掲示するのか|運営規程の概要と勤務体制が土台

第24条第1項が挙げているのは、次の3つです。

  • 運営規程の概要
  • 看護師等の勤務の体制
  • その他の利用申込者の指定訪問看護の選択に資すると認められる重要事項

1つ目の「運営規程」に何を書くかは、同じ省令の第21条に列挙されています。事業の目的及び運営の方針/従業者の職種、員数及び職務の内容/営業日及び営業時間/指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額/通常の事業の実施地域/緊急時等における対応方法/虐待の防止のための措置に関する事項/その他運営に関する重要事項、の8項目です。

つまり掲示物は、この8項目の概要と勤務体制が土台になります。利用を検討している方が「この事業所は何曜日にやっていて、いくらかかって、どこまで来てくれて、急なときはどうなるのか」を、契約前に見て判断できるようにする、というのが趣旨です。営業日と緊急時の対応が入っている理由については、お盆や年末年始、訪問看護は休み?|長期休暇中の訪問と、急に困ったときの連絡先【Vol.66】でも触れています。

3つ目の「その他の重要事項」には、厚生局に届け出ている施設基準や加算、明細書の発行体制、保険外の負担といった、他の告示や通知で掲示が求められている事項が含まれます。後述する疑義解釈(その10)も「各規則、告示及び通知により、保険医療機関等内に掲示することと定められている事項」という言い方をしており、掲示すべき事項が複数の根拠にまたがっていることを前提にしています。届出加算の掲示については、訪問看護ベースアップ評価料2026|職員の給与は上がる?計算の変更点【Vol.47】訪問看護医療情報連携加算とは?2026年6月新設の算定要件・施設基準【Vol.46】もあわせてご確認ください。

掲示と、契約時の重要事項説明は別のものです

混同されやすいのですが、掲示(第24条)と、契約時の重要事項の説明(第5条)は別の義務です。

第5条は、指定訪問看護の提供の開始に際して、あらかじめ利用申込者またはその家族に対し、運営規程の概要や勤務体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得なければならない、と定めています。これから始める人に対して、個別に、文書で、説明して同意をもらう手続きです。

これに対して第24条の掲示は、まだ契約していない人も含めて、誰でも見られる状態にしておくためのものです。重要事項説明書を作って渡しているから掲示は不要、とはなりません。逆に、掲示しているから説明を省略してよい、ということもありません。

2025年6月から、ウェブサイトへの掲載も原則義務です

第24条には第2項があります。

指定訪問看護事業者は、原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない。

この第2項は、令和6年厚生労働省令第35号によって追加されたもので、施行は令和6年6月1日です。ただし同じ省令の附則第2条に経過措置が置かれ、令和7年5月31日までは第2項が適用されない扱いになっていました。裏を返すと、2025年6月1日からは経過措置が切れ、ウェブサイトへの掲載が原則義務として動いているということです。

この経過措置は、保険医療機関の療養担当規則や保険薬局の薬担規則と足並みをそろえて置かれたものでした。医療機関向けの案内で「6月からホームページ掲載が必須」と言われていたのと同じタイミングで、訪問看護ステーションにも同じ期限が来ていた、と理解するとわかりやすいと思います。

なお条文は「原則として」と定めるにとどまり、細部の取扱いは通知で示されています。自ら管理するウェブサイトを持たない事業所の扱いについては、医療機関向けの案内資料で「対象外」とする周知が広く行われていますが、これは訪問看護ステーションについて当方が厚生労働省の原文で確認できたものではありません。自事業所にあてはめる際は、管轄の地方厚生局にご確認いただくのが確実です。

【2026年7月17日】デジタルサイネージによる掲示が認められました

ここからが今回の新しい内容です。令和8年7月17日付で厚生労働省保険局医療課から発出された「疑義解釈資料の送付について(その10)」の別添5「掲示事項関係」に、次の問答が掲載されました。

 保険医療機関、保険薬局及び訪問看護ステーションにおいて、健康保険法に基づく「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(昭和32年厚生省令第15号)等の各規則、告示及び通知により、保険医療機関等内に掲示することと定められている事項について、電子的表示(デジタルサイネージ等)による掲示を行ってよいか。

 差し支えない。

問いの文面に「訪問看護ステーション」が明記されているとおり、訪問看護ステーションも対象です。紙で貼り出す方法しか認められないわけではない、ということが公式に示されました。事業所内にモニターを置いて表示する、タブレットを掲示スペースに設置する、といった運用が可能になります。

ただし条件が3つあります

「差し支えない」の後ろに、守るべき条件が続いています。ここを読み飛ばすと運用を誤ります。

1. 容易に視認でき、内容を適切に確認できること

電子的表示による掲示にあたっては、利用者が容易に視認し、その内容を適切に確認することができるようにすることとされています。文字が小さすぎる、モニターが受付から見えない位置にある、といった状態では要件を満たしません。

2. 切り替え表示なら、数分以内に一巡すること

表示内容を一定時間ごとに切り替えて表示する方法を用いる場合であっても、数分以内に一巡して表示される等、利用者が当該内容を全て確認できる状態を確保することとされています。10枚のスライドを1枚30分ずつ表示するような運用は、この条件を満たしません。

3. 紙媒体を備え付け、紙で見られる旨を表示すること

利用者から求めがあった場合に速やかに閲覧に供することができるよう、掲示内容を記載した紙媒体を事業所内に備え付け、当該掲示内容を紙媒体で閲覧できる旨を表示することとされています。

ここが実務上いちばん見落としやすい点です。デジタルサイネージにしたから紙が不要になる、のではありません。紙のファイルは用意したうえで、「紙でもご覧いただけます」という掲示を別に出しておく必要があります。

健康保険法以外の法令に基づく掲示は、それぞれの法令に従う

あわせて、医療法などの健康保険法以外の法令に基づき掲示が求められている事項については、それぞれの法令の規定に従うこと、とされています。今回の「差し支えない」は健康保険法の枠組みの中での話であって、すべての掲示物が一律に電子化できると読むことはできません。

「事業所内の掲示」と「ウェブ掲載」は別々の義務です

ここも整理しておきます。第24条第1項の掲示(事業所内)と、第2項のウェブサイト掲載は、別々に課されている義務です。

  • デジタルサイネージで事業所内の掲示をしても、ウェブサイトへの掲載義務はなくなりません
  • ホームページに重要事項を載せていても、事業所内の掲示は必要です
  • 電子的表示にした場合は、あわせて紙媒体の備え付けが必要です

結果として、多くの事業所では「事業所内の掲示(紙またはモニター)」「紙媒体のファイル」「ウェブサイトの掲載ページ」の3つを整えることになります。内容がずれていると指摘の対象になりますので、加算の届出を変えたときは3か所とも直す、という運用にしておくと安全です。

同じ事務連絡のもう1問|新規開設と包括型訪問看護療養費

疑義解釈(その10)で訪問看護に関係する問はもう1つあります。別添4「訪問看護療養費関係」の問1で、新規に開設する訪問看護ステーションが包括型訪問看護療養費の届出を行う場合の取扱いが示されました。論点は、届出基準の11の(9)のエに定められた安全管理の体制確保のための職員研修です。

示された内容は次の3点に整理できます。

  • 届出時:届出後3か月以内の研修の予定等により基準を満たすことが見込まれる、具体的な計画や予定を示すことで、基準を満たすものとして取り扱われます
  • 届出後1か月以内:当該研修を少なくとも1回実施している必要があります
  • 届出後3か月の時点:届出時の計画や予定が遂行されておらず施設基準を満たさない場合は、包括型訪問看護療養費の取り下げを速やかに行うこととされています

開設と同時に研修実績をそろえるのは現実的に難しいため、計画で届出ができる扱いになっている一方、1か月以内に1回は実施しないと後戻りするという設計です。新規開設の準備をされている場合は、開設スケジュールに研修の実施日をあらかじめ組み込んでおくことをおすすめします。包括型訪問看護療養費そのものの位置づけは、新設加算まとめ ― ICT連携・包括型・機能強化型の新評価で解説しています。

実務チェックリスト|掲示まわりで確認しておきたい7点

  • 事業所の見やすい場所に、運営規程の概要と勤務体制の掲示があるか
  • 届け出ている施設基準・加算の掲示が、現在の届出内容と一致しているか
  • 明細書の発行体制や保険外の負担(交通費・キャンセル料・文書料など)について、掲示・掲載の要否を確認したか
  • ウェブサイトに同じ内容を掲載しているか(2025年6月1日から原則義務)
  • 電子的表示を使う場合、数分以内に一巡する設定になっているか
  • 電子的表示を使う場合、紙媒体を備え付け、紙で閲覧できる旨を表示しているか
  • 加算の届出を変更したとき、掲示・紙媒体・ウェブの3か所すべてを更新する手順が決まっているか

2026年6月改定で届出内容が変わった事業所は、掲示の更新が追いついているかを一度見直しておくとよいと思います。改定にともなう届出の全体像は、訪問看護師の給料は上がる?2026年6月「賃上げ二刀流」|医療保険と介護保険のダブル改善【Vol.55】でも触れています。

府中よりそい訪問看護ステーションの対応状況

当ステーションでは、事業所内の掲示に加えて、ウェブサイトにも施設基準等のご案内のページを設け、指定訪問看護事業者である旨、届け出ている施設基準・加算、明細書の発行体制、保険外の負担、苦情相談窓口を掲載しています。加算の届出を追加した際には、このページもあわせて更新する運用にしています。

掲示の方法は現在のところ紙を基本としていますが、今回の取扱いが示されたことで、電子的表示も選択肢に入りました。導入する場合も、紙媒体の備え付けと「紙でも閲覧できる」旨の表示はあわせて必要になります。

まとめ|掲示は「3か所そろえて、届出と一致させる」

  • 訪問看護ステーションには、運営規程の概要・勤務体制などを事業所内に掲示する義務があります(省令80号24条1項)
  • ウェブサイトへの掲載も原則義務で、経過措置は2025年5月31日に終了しています(同24条2項)
  • 2026年7月17日の疑義解釈(その10)で、デジタルサイネージ等による掲示が差し支えないと示されました
  • ただし、容易に視認できること・数分以内に一巡すること・紙媒体を備え付けて紙で閲覧できる旨を表示すること、の3条件があります
  • 健康保険法以外の法令に基づく掲示は、それぞれの法令に従います
  • 同じ事務連絡で、新規開設時の包括型訪問看護療養費の届出は研修計画で可(ただし1か月以内に1回実施)という取扱いが示されました

精神科訪問看護のご相談、また紹介先の体制についてご確認されたいケアマネジャー・医療機関の方は、お問い合わせフォームまたは電話(042-508-3434・受付9:00-18:00)へご連絡ください。対応可能な地域は対応エリアの確認ページでご確認いただけます。

よくあるご質問

Q1. 訪問看護ステーションは、何を掲示しなければならないのですか?

運営規程の概要、看護師等の勤務の体制、その他の利用申込者が訪問看護を選ぶ際に役立つと認められる重要事項です(指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 第24条第1項)。運営規程には、事業の目的と運営方針、従業者の職種・員数・職務内容、営業日及び営業時間、訪問看護の内容と利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、緊急時等における対応方法、虐待の防止のための措置に関する事項などを定めることになっています。このほか、届け出ている施設基準や明細書発行体制など、他の告示・通知で掲示が求められている事項もあります。

Q2. ウェブサイトへの掲載は、いつから義務になったのですか?

同基準の第24条第2項は令和6年厚生労働省令第35号で追加され、令和6年6月1日に施行されました。ただし附則の経過措置により令和7年5月31日までは適用されない扱いだったため、実質的には2025年6月1日から原則義務として運用されています。なお条文は「原則として」と定めており、細部の取扱いは通知で示されています。自事業所への当てはめは管轄の地方厚生局にご確認ください。

Q3. デジタルサイネージだけで掲示してもよいですか?

電子的表示による掲示自体は差し支えないとされていますが、モニターだけで完結させることはできません。利用者から求めがあった場合に速やかに閲覧に供することができるよう、掲示内容を記載した紙媒体を事業所内に備え付け、その内容を紙媒体で閲覧できる旨を表示することが求められています(令和8年7月17日 疑義解釈資料の送付について(その10)別添5)。

Q4. 複数の内容を切り替えて表示する場合、どのくらいの速さで一巡させる必要がありますか?

数分以内に一巡して表示される等、利用者が内容を全て確認できる状態を確保することとされています。具体的な秒数までは示されていませんので、掲示する枚数と1枚あたりの表示時間から一巡の所要時間を計算し、数分以内に収まる設定にしておく必要があります。

Q5. 新規開設で包括型訪問看護療養費を届け出る場合、安全管理の研修は届出前に済ませる必要がありますか?

届出時点では、届出後3か月以内の研修の予定等により基準を満たすことが見込まれる具体的な計画や予定を示すことで、基準を満たすものとして取り扱われます。ただし届出後1か月以内に当該研修を少なくとも1回実施している必要があり、届出後3か月の時点で計画や予定が遂行されておらず施設基準を満たさない場合は、包括型訪問看護療養費の取り下げを速やかに行うこととされています。

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