
「お盆や年末年始は、訪問看護もお休みですか?」というご質問をよくいただきます。長い休みに入る前は、お薬のこと、主治医の休診のこと、体調を崩したときの連絡先のことなど、不安が重なりやすい時期です。この記事では、訪問看護の営業日と休みの日の考え方、休みの日の対応がどこに書かれているかの確認方法、そして急に困ったときにどこへ連絡すればよいかを、府中市の窓口とあわせて整理します。
「お盆や年末年始も、来てもらえますか?」というご質問について
結論から言うと、お盆や年末年始に訪問があるかどうかは、事業所ごとに違います。全国共通で「この日は訪問看護はお休み」と決まっているわけではありません。
これは制度の抜け穴のような話ではなく、そもそもの仕組みがそうなっています。訪問看護ステーションは、それぞれが自分の事業所の営業日と営業時間を定めて運営することになっているためです。ですから、「隣の市の事業所は年末年始も来てくれるらしい」という話も、「うちは12月29日から1月3日までお休みです」という説明も、どちらもあり得ます。
大事なのは、ご自身が利用している事業所がどうなっているかを、休みに入る前に確認しておくことです。その確認の仕方を、この記事で順番に説明します。
「事業所の休業日」と「訪問がない日」は、同じではありません
ここが、いちばん誤解が生まれやすいところです。
事業所が案内している「休業日」は、多くの場合、事務所が開いていない日(電話の受付や新規のご相談を通常どおりお受けできない日)を指しています。それに対して「その日に訪問がまったくないか」は、別の話です。
たとえば、当ステーションのホームページには、休業日の案内のあとに「定期訪問については、休業日であっても計画的に実施しております」と書いています。土曜や祝日に定期の訪問予定が入っている方は、その日も予定どおりお伺いする、という意味です。
ですから、確認したいことは「休業日はいつか」だけではなく、次の2点です。
- 自分の訪問予定日が、休みの期間にかかっているか(かかっている場合、その回はどうなるか)
- 休みの期間に体調を崩したとき、どこに連絡すればよいか
訪問の回数や頻度そのものの決まりについては、精神科訪問看護は週何回来てくれる?制度の上限と実際の頻度【Vol.60】で詳しく整理しています。
休みの日の対応は、契約のときの書類に書かれています
「事業所ごとに違う」と言われると、どこで確かめればよいのか困ってしまいます。実は、確認する場所は決まっています。
訪問看護の事業所は、国の基準(指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準)によって、事業所ごとに「運営規程」を定めておくことが義務づけられています。そこに定めるべき項目として、条文にはっきり挙げられているのが次の内容です。
- 三 営業日及び営業時間
- 六 緊急時等における対応方法
つまり、「いつ営業しているか」と「緊急のときにどうするか」は、どの事業所も必ず文書で定めているということです。介護保険の訪問看護についても、同じように運営規程に営業日と営業時間を定めることになっています。
さらに、サービスを始めるときには、この運営規程の概要などの重要事項を記した文書を交付して説明し、同意を得ることになっています。ご契約のときに受け取った「重要事項説明書」が、まさにその書類です。手元にある方は、「営業日・営業時間」「緊急時の対応」の欄をご覧ください。
また、この重要事項は事業所の見やすい場所に掲示することとされており、原則としてウェブサイトにも掲載することとされています。書類が見つからないときは、事業所のホームページを見るか、電話で聞けば確認できます。
24時間の連絡体制をとっている事業所があります
訪問看護には、夜間や休日も含めて連絡を受けられる体制をとるための仕組みがあります。
医療保険では「24時間対応体制加算」、介護保険では「緊急時訪問看護加算」と呼ばれるものです。医療保険の場合、届出をしている訪問看護ステーションが、利用者やそのご家族に対して24時間の対応体制にある場合に、月1回に限り算定できるとされています。
ここで知っておいていただきたいのが、条文に「指定訪問看護を受けようとする者の同意を得た場合に限る」と書かれている点です。つまり、この体制は全員に自動的についているものではなく、ご本人が説明を受けて同意したうえで利用するものです。
ご自身がこの体制を利用しているかどうかがはっきりしない場合は、休みに入る前に事業所へ確認してください。利用している場合は、夜間や休日にどの番号へかければよいかもあわせて聞いておくと安心です。料金の全体像については、精神科訪問看護の料金はいくら?|1回いくら・月いくら・0円になる方も【Vol.48】で整理しています。
「休みの日だから料金が高くなる」という仕組みはありません
「お盆に来てもらったら、割増料金になりませんか?」というご心配もよくいただきます。
医療保険の訪問看護の費用を定めた告示(訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法)を確認すると、休日や祝日であることを理由に加算する規定は置かれていません。日曜だから、お盆だから高くなる、という仕組みにはなっていないということです。
一方で、時間帯による加算はあります。夜間・早朝の訪問や深夜の訪問には、それぞれ加算が定められています。また、ご本人やご家族の求めに応じて主治医の指示に基づき緊急に訪問した場合には「緊急訪問看護加算」が算定されます。
なお、これらは費用の総額に対する決まりで、実際にお支払いいただく金額は、保険の負担割合(1割から3割)や公費の適用によって変わります。ご自身の負担額の目安を知りたい方は、自己負担額の計算ツールもご利用いただけます。
長期の休みに入る前に、確認しておきたい5つのこと
お盆や年末年始のように医療機関が一斉に休みに入る時期は、事前の段取りで防げるトラブルが多くあります。訪問の現場でよくご相談を受ける順に挙げます。
1. お薬が足りるかどうか
いちばん多いのがこれです。休みの期間をまたいで薬が足りるか、カレンダーを見ながら数えてみてください。足りない見込みなら、休みに入る前に受診の予定を早めるのが確実です。
処方箋にも期限があります。国の規則では、処方箋の使用期間は「交付の日を含めて4日以内」とされています(長期の旅行等の特殊な事情がある場合を除きます)。「休みが明けてから薬局に行こう」と考えていると、期限が切れてしまうことがあります。処方箋を受け取ったら、早めに薬局へ持って行ってください。
2. 主治医の休診日と、次の受診日
かかりつけの医療機関の休診期間を確認し、次の受診日を決めておきます。休みの直前は混み合いやすいため、早めの予約が安心です。
3. 訪問の予定がどうなるか
休みの期間に予定日がかかっている場合、その回が別の日に振り替えになるのか、そのまま伺うのかを確認しておきます。曜日が変わると生活のリズムに影響が出る方もいますので、早めに相談しておくと調整しやすくなります。
4. 困ったときの連絡先
「夜間・休日はどこにかければよいか」を、紙に書いて電話のそばや冷蔵庫に貼っておくことをおすすめします。具合が悪いときほど、探す余裕がなくなるためです。次の章でまとめた窓口も、あわせて控えておいてください。
5. 体調が揺れやすい時期であること
お盆の時期は猛暑と重なります。精神疾患のある方は、お薬の影響で体温調節がしづらくなることがあり、暑さやのどの渇きに気づきにくい場合もあります。夏の備えについては、精神疾患のある方の猛暑日サバイバル|お薬と体温調節、本人・家族にできる3つの備え【Vol.56】で具体的にまとめています。
精神疾患のある方が、長い休みでつまずきやすいこと
長期の休みは、体の問題だけでなく、生活のリズムや人との距離の面でも影響が出やすい時期です。訪問の現場でよく見られるのは、次のようなことです。
- 生活リズムが崩れる: デイケアや作業所、通院といった「外に出る予定」がなくなることで、昼夜が逆転しやすくなります
- 人と会わない日が続く: 支援者も休みに入るため、数日間だれとも話さない状態になることがあります
- 親戚の集まりが負担になる: 帰省や来客で、ふだんと違う人と会う機会が増えます。「働いていないことを聞かれるのがつらい」という声はよく聞きます
- 服薬のタイミングがずれる: 起きる時間や食事の時間が変わると、飲み忘れが起こりやすくなります
対策として大げさなことは必要ありません。起きる時間だけは変えない、1日1回は外の空気を吸う、薬は時間ではなく食事とセットにする、といった小さな工夫で崩れ方はずいぶん変わります。親戚の集まりについては、「長居しない」「席を外せる場所を決めておく」など、逃げ道を先に用意しておくと負担が軽くなります。
ご家族にお願いしたいのは、休み中の様子を「いつもと比べてどうか」という目で見ておいていただくことです。眠れていない、食べていない、口数が減った、といった変化は、休み明けの相談のときに重要な情報になります。
急に具合が悪くなったときの連絡先
休みの期間に体調が急に悪くなったときの窓口を、段階ごとに整理します。事前に控えておいてください。
- 命に関わる状態のとき(意識がない、呼吸がおかしい、大量に出血しているなど): ためらわずに119番
- 救急車を呼ぶべきか迷うとき: 東京消防庁の救急相談センター#7119(多摩地区の固定電話などからは042-521-2323、23区は03-3212-2323)。24時間年中無休で、医師・看護師・救急隊経験者等が相談に応じます
- 精神科の症状で夜間・休日に困ったとき: 東京都の精神科救急の受付窓口「ひまわり」03-5272-0303。東京都福祉局の案内では、受付時間は平日・土曜が17時から翌9時、休日は24時間とされています(受付時間は変更されることがあるため、東京都のページでご確認ください)
- 府中市内で休日・夜間に内科的な診察が必要なとき: 府中市保健センター(府中市府中町2丁目25番地・042-368-5311)。休日診療は日曜・祝日・年末年始の午前9時から11時半と午後1時から4時、夜間診療は毎日午後7時半から10時。診療科は内科・小児科(休日は歯科もあります)。お薬は1日分程度の最小限の処方となるため、翌日以降にかかりつけ医を受診してください
府中市のこころの相談・通院・緊急時の窓口は、府中市の精神科医療マップ|こころの相談・通院・在宅ケア・緊急時まで5カテゴリで網羅【Vol.37】に5カテゴリでまとめてあります。休みに入る前に、一度目を通しておくことをおすすめします。
府中よりそい訪問看護ステーションの場合
当ステーションの体制は、ホームページに掲載しているとおり次のようになっています。
- 営業日: 月曜日から金曜日
- 営業時間: 9:00-18:00(訪問対応時間 8:30-18:30)
- 休業日: 土曜日・日曜日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)
- お盆の期間: 休業日としていないため、通常どおりの営業となります
- 定期訪問については、休業日であっても計画的に実施しています
- 緊急時は24時間対応しています(体制の詳細と連絡先は、ご契約時に個別にご案内しています)
ご利用中の方で、休みの期間の訪問予定やお薬のことが気になる場合は、休みに入る前の平日にご連絡ください。予定の調整や、主治医への確認が必要かどうかの整理も一緒に行います。
まとめ|休みの前に「連絡先」と「お薬」を確認しておく
お盆や年末年始に訪問があるかどうかは、事業所ごとに決まっています。全国一律のルールではないので、「たぶん休みだろう」と思い込まずに、契約時の重要事項説明書か、事業所への電話で確認するのが確実です。
そのうえで、休みに入る前にやっておきたいのは、結局のところ2つだけです。お薬が足りるかを数えることと、困ったときの連絡先を目に見えるところに貼っておくこと。この2つができていれば、多くの困りごとは防げます。
府中よりそい訪問看護ステーションでは、ご本人のケアとあわせて、ご家族からのご相談にも対応しています。お問い合わせフォームまたは電話(042-508-3434・受付9:00-18:00)でご相談ください。府中市外にお住まいの方は、対応エリアの確認ページもご利用いただけます。
よくあるご質問
Q1. お盆の期間も訪問看護に来てもらえますか?
事業所によって異なります。お盆を休業日としている事業所もあれば、通常どおり営業している事業所もあります。全国共通の決まりはないため、ご利用中の事業所に確認してください。当ステーションはお盆を休業日としておらず、通常どおりの営業です。
Q2. 年末年始に体調を崩したら、どこに連絡すればよいですか?
まず、契約時に案内されている緊急時の連絡先を確認してください。24時間の対応体制を利用している場合は、その番号に連絡できます。命に関わる状態なら119番、救急車を呼ぶか迷うときは#7119(多摩地区の固定電話などからは042-521-2323)、精神科の症状で夜間・休日に困ったときは東京都の「ひまわり」03-5272-0303が窓口になります。
Q3. 休みの日に訪問してもらうと、料金は高くなりますか?
休日や祝日であることを理由とした加算は、医療保険の訪問看護の告示には定められていません。ただし、夜間・早朝や深夜の訪問には時間帯による加算があり、主治医の指示に基づく緊急の訪問には緊急訪問看護加算が算定されます。実際のお支払い額は保険の負担割合や公費の適用で変わります。
Q4. 事業所の休みは、どこで確認できますか?
ご契約時に受け取った重要事項説明書の「営業日・営業時間」の欄で確認できます。訪問看護の事業所は、営業日・営業時間と緊急時の対応方法を運営規程に定めることになっており、その概要を記した文書を交付して説明することが基準で定められています。書類が見当たらない場合は、事業所のホームページか電話でご確認ください。
Q5. お盆前に、お薬はどのくらい用意しておけばよいですか?
休みの期間に加えて、明けてから受診できる日までの分が必要です。日数はお一人ずつ違うため、カレンダーで受診予定日を確認しながら主治医に相談してください。処方箋の使用期間は交付の日を含めて4日以内とされているため、受け取ったら早めに薬局へ持って行ってください。



