精神科訪問看護を断られたら|受け入れ先が見つからないときの選択肢【Vol.59】


精神科訪問看護を断られたときの選択肢

「精神科の訪問看護をお願いしたくて電話したのに、断られてしまった」。そんな経験をして、この記事にたどり着いた方もいらっしゃるかもしれません。受け入れ先が見つからないと、「うちはどこからも必要とされないのかな」と落ち込んでしまうこともあると思います。

でも、断られることは決して珍しいことではありませんし、ご本人やご家族に問題があるからでもありません。訪問看護には制度上のしくみや、事業所ごとの事情があり、それによって「今回はお受けできない」となることが実際にあります。大切なのは、そこで終わりにしないことです。この記事では、断られる理由を整理したうえで、次にとれる選択肢を具体的にご紹介します。

「断られた」その状況は、あなたのせいではありません

訪問看護は、医療保険や介護保険という公的なしくみの中で提供されるサービスです。そのため、事業所が「受けたい」と思っても、制度上の条件が整わなければお受けできないことがあります。また、事業所ごとに対応できる地域や得意な領域、受け入れられる人数には限りがあります。

つまり、断られたのは「あなたが支援に値しないから」ではなく、「その事業所と、いまのタイミング・条件が合わなかったから」であることがほとんどです。まずはそのことを知っていただいたうえで、なぜ断られることがあるのかを見ていきましょう。

なぜ断られることがあるのか|よくある5つの理由

受け入れ先が見つからないとき、その背景には次のような理由が考えられます。どれか一つのこともあれば、いくつか重なっていることもあります。

1. 対応エリアの外だった

訪問看護ステーションは、運営上「通常訪問する地域」を定めています。その範囲から離れていると、移動時間の関係でお受けできないことがあります。ただしエリアは事業所ごとに違うため、ある事業所で範囲外でも、別の事業所なら対応できることは少なくありません。

2. 精神科(医療保険)への対応状況

精神疾患を主な理由とする訪問看護は、原則として医療保険(精神科訪問看護療養費)で提供され、要介護認定を受けた方が使う介護保険の訪問看護とは、指示書や算定のしくみが異なります。事業所によって精神科に対応しているかどうかが分かれるため、「精神科の訪問看護に対応している事業所か」を確認することが大切です。

3. 主治医の指示書が得られるか

訪問看護は、主治医が交付する「訪問看護指示書」がなければ始められません。指示書を出すかどうかを判断するのは主治医であり、ステーションが発行できるものではありません。精神科の訪問看護指示書は、精神科を担当する医師が交付します。まだ主治医に相談していない場合は、指示書が出るかどうかがまず出発点になります。

4. ステーションの受け入れ体制・空き状況

訪問看護には決まった「定員」があるわけではありませんが、看護師の人数や現在の稼働状況によっては、新しい方をすぐにお受けするのが難しいことがあります。これは事業所の体制の問題であって、ご本人の状態とは関係ありません。時期をあらためて問い合わせると受けられることもあります。

5. 得意な領域とのミスマッチ

事業所ごとに、精神科が中心のところ、身体面のケアが中心のところなど、力を入れている領域があります。ご本人の状態と事業所の得意分野が合わないと、「より適した事業所を探したほうがよい」という判断で紹介されることもあります。これも、より合う支援につなぐための前向きな案内であることが多いものです。

断られたら、まず確認したい3つのこと

もう一歩進む前に、次の3点を整理しておくと、別の事業所や相談窓口に問い合わせるときにスムーズです。

  • 主治医の指示書は出そうか(出る見込みがあるか):訪問看護が役立ちそうか、主治医に相談してみましょう。指示書が出る見込みがあるかどうかが土台になります。
  • 医療保険か介護保険か:精神疾患が中心か、年齢や要介護認定の有無によって使う保険が変わります。どちらになりそうかを整理しておきます。
  • お住まいがどのエリアか:市区町村と、できれば町名まで把握しておくと、対応可能な事業所を探しやすくなります。

当ステーションの対応エリアや、郵便番号でエリアを調べる方法は、「府中市外でも来てもらえる?対応エリアを郵便番号で調べる方法」でご案内しています。

選択肢A|ほかのステーションを探す

一つの事業所で断られても、地域には複数の訪問看護ステーションがあります。次のような方法で、対応できる事業所を探すことができます。

  • 主治医や医療機関の相談室に聞く:病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)がいることが多く、地域の社会資源にくわしく、訪問看護の相談にのってくれます。
  • お住まいの市区町村の窓口に聞く:市区町村では、地域の事業所の情報を持っていることがあります。
  • 複数の事業所に問い合わせてみる:エリアや受け入れ体制は事業所ごとに違うため、一つ断られてもあきらめず、いくつか当たってみることが大切です。

探すときは、「精神科に対応しているか」「対応エリアに入っているか」「いま新規を受け入れているか」の3点を最初に確認すると、話が早く進みます。

選択肢B|公的な相談窓口に相談する

「どこに相談していいか分からない」というときは、公的な相談窓口が力になってくれます。これらの窓口は、必ず受け入れ先を手配してくれるわけではありませんが、状況の整理や、地域の情報提供、次につなぐ相談にのってくれます。

  • 精神保健福祉センター:こころの病気や思春期・青年期の悩み、依存症などの専門的な相談を受けています。府中市を含む多摩地域は、東京都立多摩総合精神保健福祉センターが担当しています。
  • 市区町村の保健センター:身近な一次相談の窓口です。府中市では、健康推進課(保健センター)でこころとからだの相談を受け付けています。
  • 相談支援事業所:障害福祉サービスを使うときに、サービス全体の計画づくりや調整をしてくれます。医療と福祉のサービスをつなぐ役割を担います。
  • 地域包括支援センター:主に高齢の方(介護保険の領域)の総合相談窓口です。ご高齢の親御さんの介護と精神的な不調が重なっているようなケースで相談先になります。

どの窓口も、まずは電話で「こういう状況で困っている」と伝えるところから始められます。相談は無料で受け付けているところがほとんどです。

「本人が受診していない」「家族だけ」でも相談できます

「本人がまだ病院にかかっていない」「本人が拒否していて動けない」という段階でも、ご家族だけで相談することはできます。訪問看護そのものは主治医の指示書が前提になりますが、その手前の「どうすればいいか」を整理する相談は、受診前でも可能です。

ご家族が一人で抱え込むと、心も体も消耗してしまいます。「もう限界かもしれない」と感じたときの考え方や選択肢については、「家族が『もう限界』と思ったとき」もあわせてご覧ください。ご本人へのすすめ方に悩む場合は、家族からのすすめ方の記事も参考になります。

費用が心配で踏み出せないとき

「費用がかかりそうで相談をためらっている」という方もいらっしゃいます。精神科訪問看護は医療保険が使え、さらに自立支援医療(精神通院医療)などの公費を利用すると、自己負担が原則1割に軽くなり、さらに世帯の所得に応じた月額上限の範囲に抑えられる場合があります。金額は制度改定や世帯の状況によって変わるため、具体的な負担額は各窓口でご確認ください。

費用のしくみや、自己負担のめやすについては、「精神科訪問看護の料金」の記事でくわしくご説明しています。

府中よりそいの姿勢|まず、ご相談ください

私たち府中よりそい訪問看護ステーションも、対応エリアや受け入れ体制、ご本人の状態によっては、その時々でお受けできないことがあります。「必ずお受けします」とお約束することはできません。それでも、できるだけ「受けられない」で終わらせず、受けられるかどうかを一緒に考え、難しい場合も次に相談できる先を一緒に探す、という姿勢を大切にしています。

境目の地域や、「うちは対象になるのかな」と迷うケースも、まずはご相談ください。精神科を専門とし、認知症の診療に携わってきた青栁先生と連携しながら、府中市と多摩地域でご本人とご家族を支えています。初回のご相談は無料です。

お問い合わせ:042-508-3434(受付 平日9:00から18:00)
「断られて困っている」という段階のご相談でも大丈夫です。お気持ちのままにお電話ください。

まとめ

  • 訪問看護を断られるのは珍しくなく、ご本人やご家族のせいではありません。
  • 断られる理由は、エリア・保険区分・指示書・受け入れ体制・得意領域など、制度や事業所の事情によるものです。
  • 断られたら、指示書・保険区分・エリアの3点を整理し、他の事業所や公的な相談窓口を当たってみましょう。
  • 本人が受診していなくても、家族だけの相談から始められます。
  • 一つの「ノー」で終わりにせず、次の選択肢につなげていくことが大切です。

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