
物価対応料とは?2026年6月に新設された「物価高騰への対応料」
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定で、「訪問看護物価対応料」が新しく設けられました。ガソリン代や医療物資の値上がりが続くなかで、訪問看護を安定して続けられるようにするための、物価高騰への対応を目的とした項目です。施行は令和8年6月1日からです。
特徴は、令和8年度と令和9年度の2段階で引き上げられる点にあります。令和9年6月からは、令和8年6月時点の金額の2倍になることがあらかじめ示されています(「2027年度に倍増」と紹介されることもありますが、正確には年度頭の4月ではなく令和9年6月からです)。
制度上の位置づけも整理しておきます。告示の区分でいうと、物価対応料は「区分番号08 訪問看護物価対応料」という独立した項目として新設されました。ただし実際の算定は、訪問看護管理療養費(区分02)や包括型訪問看護療養費(区分04)に上乗せして算定する加算的な性格のものです。
物価対応料1と2は何が違う?ひと目でわかる早見表
訪問看護物価対応料には「物価対応料1」と「物価対応料2」の2つがあります。どちらの対象になるかは、その利用者に対して算定している区分番号(02か04か)によって決まります。まずは違いを表で整理します。
| 項目 | 物価対応料1 | 物価対応料2 |
|---|---|---|
| 対象(算定区分) | 区分番号02 (訪問看護管理療養費)の算定者 |
区分番号04 (包括型訪問看護療養費)の算定者 |
| 令和8年6月から | 月の初日:60円 2日目以降:1回20円 |
一律20円 (初日・2日目以降の区別なし) |
| 令和9年6月から | 月の初日:120円 2日目以降:1回40円 |
一律40円 |
| 主な対象ステーション | ふだん在宅で訪問看護を提供している 多くのステーション |
サービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホーム等に併設/隣接し、建物単位で24時間体制をとるステーション |
ポイントは2つです。物価対応料1は「月の初日」と「2日目以降」で金額が変わるのに対し、物価対応料2は一律であること。そして、料1と料2は同じ利用者に重ねて算定するものではなく、算定している区分(02か04か)で振り分けられるという点です。
「区分番号02」「区分番号04(包括型)」とは誰のこと?
ここは誤解されやすいところなので、ていねいに整理します。
区分番号02は「訪問看護管理療養費」です。訪問看護の「基本療養費」は区分01で、02はそれとは別の管理料にあたります。この管理療養費は、ご自宅で計画的に訪問看護を受けている方にはほぼ必ず算定されるものです。つまり、物価対応料1の対象は「ふだん訪問看護を受けている方のほとんど」と考えてよい、ということになります。
一方の区分番号04は、2026年6月に新設された「包括型訪問看護療養費」です。これは、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどに併設・隣接するステーションが、その住まいに暮らす重症度の高い利用者に対して、建物単位で24時間体制の頻回訪問を行う場合の枠組みです。届出をして、建物単位・利用者数に応じて算定します。物価対応料2は、この包括型を算定している利用者向けです。
「02=従来型の基本療養費」と紹介されることがありますが、これは正確ではありません。02は管理療養費、基本療養費は01です。請求の際は取り違えにご注意ください。
物価対応料1の点数(区分02・初日60円/2日目20円)
物価対応料1は、区分番号02(訪問看護管理療養費)を算定している利用者1人につき、1日あたりで算定します。
- 月の初日の訪問:60円(令和9年6月からは120円)
- 月の2日目以降の訪問:1回につき20円(令和9年6月からは40円)
たとえば月に8回訪問した場合、令和8年度の物価対応料1は「初日60円+2日目以降20円×7回=200円」というイメージになります。1回あたりにすると数十円規模の上乗せで、金額そのものは大きくありませんが、物価高が続くなかで在宅ケアを継続するための下支えとして設けられました。
物価対応料2の点数(区分04・一律20円)と、当ステーションが対象外である理由
物価対応料2は、区分番号04(包括型訪問看護療養費)を算定している利用者1人につき、1日あたり一律20円(令和9年6月からは40円)です。料1と違い、初日と2日目以降の区別はありません。
ここで大切な点をはっきりお伝えします。包括型訪問看護療養費(区分04)は、サ高住や有料老人ホームに併設・隣接するステーションが建物単位で算定する枠組みです。当ステーションはこうした併設・隣接型ではないため、区分04(包括型)も物価対応料2も算定しません。当ステーションが算定するのは、区分02にもとづく物価対応料1のほうです。この点は、誤解のないよう正直にお伝えしておきます。
届出は必要?算定・請求の実務ポイント
実務でよく聞かれる点をまとめます。
- 物価対応料そのものの届出は不要です。厚生局の「訪問看護ステーションの基準に関する届出一覧」にも、物価対応料は届出を要する項目として記載されていません。
- ただし、物価対応料2の前提となる「包括型訪問看護療養費(区分04)」は、建物単位での届出が必要です(別紙様式12)。料2を算定するには、まず包括型の届出が前提になります。
- 請求システムでは、利用者ごとに区分02か04かを正確に識別し、料1については「月の初日」と「2日目以降」で金額が変わる処理を確実に組み込む必要があります。令和9年6月からの倍額への切り替えも、あらかじめ運用に織り込んでおくと安心です。
利用者・ご家族への影響(自己負担はどう変わる?)
「料金が上がるの?」と心配されるかもしれませんが、ご利用者・ご家族への自己負担への影響は小さく抑えられています。物価対応料1は1回あたり数十円規模の上乗せで、実際の自己負担は医療保険の負担割合(1割・2割・3割など)に応じた金額になります。たとえば1割負担の方であれば、上乗せ分の自己負担は1日あたり数円程度が目安です。
また、精神科の訪問看護で自立支援医療(精神通院医療)や各種の公費が適用されている方は、自己負担に上限が設けられているため、影響はさらに小さくなります。料金の内訳について気になる点があれば、遠慮なくご相談ください。透明性をもってご説明します。
当ステーション(区分02算定)の取り組みと、よくあるご質問
当ステーションは、ご自宅で訪問看護を受けている方に区分02(訪問看護管理療養費)を算定する在宅型のステーションとして、物価対応料1の対象となります。ガソリン代や物資費の高騰が続くなかでも、これまでどおり、必要な方に必要な訪問を丁寧に届け続けてまいります。
Q. 物価対応料1と2、当ステーションに関係するのはどちら?
A. 区分02を算定する在宅型のため、関係するのは物価対応料1です。包括型(区分04)の物価対応料2は算定しません。
Q. 利用者の負担は大きく増える?
A. いいえ。1回あたり数十円規模の上乗せで、自己負担は負担割合に応じた金額です。1割負担の場合は1日数円程度が目安で、公費が適用されている方はさらに影響が小さくなります。
Q. 算定にあたって届出は必要?
A. 物価対応料そのものの届出は不要です(料2の前提となる包括型療養費は別途、建物単位の届出が必要です)。
連携先のケアマネジャーやソーシャルワーカーの皆さまで、令和8年6月改定の算定や連携についてご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。採用に関するご相談も歓迎しています。
府中よりそい訪問看護ステーション
電話:042-508-3434(受付 9:00-18:00)
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参考資料(一次情報)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(物価対応料=p.17、告示区分表=p.25)
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 2. 物価対応」(算定要件・点数=p.5)
※点数・区分は厚生労働省の改定概要資料にもとづく内容です。算定の最終的な取り扱いは、今後発出される告示・保医発通知で必ずご確認ください。



