【Vol.12】精神科訪問看護で算定できる加算を徹底解説【ケアマネ・PSW向け】


精神科訪問看護には、基本の訪問看護費に上乗せして算定できる「加算」が複数あります。ケアマネジャー(介護支援専門員)や精神保健福祉士(PSW)の方が利用者さんへの支援を計画する際、加算の種類と要件を理解しておくことで、より適切なサービスコーディネートが可能になります。本記事では、精神科訪問看護(医療保険)に関連する主要加算を、要件・算定額とともに解説します。

※本記事は医療保険適用の精神科訪問看護(精神科訪問看護基本療養費)を中心に解説しています。介護保険適用の訪問看護とは算定要件・金額が異なる場合があります。

1. 精神科訪問看護指示書の基礎知識

精神科訪問看護は、精神科を標榜する保険医療機関の主治医が交付する「精神科訪問看護指示書」または「精神科特別訪問看護指示書」に基づいて提供されます。加算はこの指示書の種類や、訪問の形態・内容によって異なります。

精神科訪問看護指示書(通常)

  • 原則週3日まで医療保険で訪問可能
  • 退院後3か月以内は週5日まで訪問可能(退院後の集中的な支援が必要な場合)

精神科特別訪問看護指示書

  • 急性増悪時(服薬中断、著しい症状悪化等)に主治医の判断で発行
  • 月1回、最大14日間の頻回訪問が可能
  • ケアマネ・PSWは利用者さんの状態が不安定な時期に、主治医や訪問看護師へ積極的に確認することが大切です

2. 主要加算の一覧

以下は、精神科訪問看護で算定できる主な加算の一覧です。

加算名算定の概要金額回数制限
複数名精神科訪問看護加算2名以上で訪問した場合職種の組合せにより異なる看護師等(イ・ロ)は週の回数制限なし、看護補助者等(ハ)は週1日まで
長時間精神科訪問看護加算1回の訪問が90分を超える場合5,200円週1回まで(※1)
夜間・早朝訪問看護加算早朝6〜8時または夜間18〜22時の訪問2,100円該当訪問ごと
深夜訪問看護加算深夜22〜翌6時の訪問4,200円該当訪問ごと
精神科緊急訪問看護加算緊急連絡に基づく臨時の訪問イ:2,650円 / ロ:2,000円1日1回
精神科重症患者支援管理連携加算多職種チームによる重症患者の計画的支援告示・通知をご確認ください月1回
訪問看護情報提供療養費市区町村・学校等・医療機関等への情報提供各1,500円提供先区分ごと(※2)

※1 厚生労働大臣が定める者(特別な管理を必要とする利用者等)は週3回まで算定可能
※2 詳細は後述の「訪問看護情報提供療養費」の項をご参照ください

3. 複数名精神科訪問看護加算 — 安全な訪問のために

複数名精神科訪問看護加算は、2名以上のスタッフで訪問した場合に算定できる加算です。

算定対象となるケース

  • 暴力行為や著しい迷惑行為、器物損壊行為等が認められる場合
  • 利用者の身体的理由により1人の看護師等では訪問看護が困難な場合
  • その他、利用者の状況等から判断して必要と認められる場合

算定には、主治医の指示書に複数名訪問の必要性が記載されていることが要件です。また、30分未満の訪問では算定できませんのでご注意ください。

ケアマネ・PSWの方は「安全に訪問できているか」を定期的に確認し、必要があれば訪問看護師に相談してみてください。

4. 長時間精神科訪問看護加算 — 90分超の訪問を支える仕組み

長時間精神科訪問看護加算は、1回の訪問が90分を超えた場合に算定できる加算です。

項目内容
算定額5,200円
回数制限週1回まで(厚生労働大臣が定める者は週3回まで)
要件主治医の指示に基づき、長時間の訪問が必要と認められること

退院直後の不安定な時期や、複雑な生活課題を抱える利用者さんの場合、90分を超える丁寧なかかわりが必要になることがあります。ケアプランの作成時には、長時間訪問の必要性も視野に入れていただければ幸いです。

5. 夜間・早朝 / 深夜訪問看護加算 — 医療保険は定額制

医療保険の訪問看護における時間帯加算は、定額で算定されます(介護保険の「25%・50%」加算とは異なります)。

時間帯時間加算額
早朝6:00〜8:002,100円
夜間18:00〜22:002,100円
深夜22:00〜翌6:004,200円

精神疾患を持つ方の中には、夜間に不安が強まる方や、生活リズムの関係で早朝・夜間の訪問が有効な方もいらっしゃいます。時間帯加算を正しく理解することで、利用者さんの生活に合った訪問計画を立てやすくなります。

6. 精神科緊急訪問看護加算 — 令和6年度改定で2区分に

精神科緊急訪問看護加算は、利用者さんやご家族からの緊急連絡に基づき、主治医の指示を受けて計画外の緊急訪問を行った場合に算定できます。

令和6年度の診療報酬改定により、2つの区分が設けられました。

区分内容算定額
月の初日から算定日まで14日以内の場合2,650円
月の初日から算定日まで15日以上の場合2,000円
  • 算定回数:1日につき1回
  • 24時間対応体制加算の届出が前提
  • 緊急訪問の結果は主治医に報告が必要

精神疾患を持つ方にとって、「いざという時に頼れる存在がいる」ことは大きな安心材料です。ケアマネ・PSWの方が利用者さんに制度を案内する際の参考にしていただければ幸いです。

7. 精神科重症患者支援管理連携加算

精神科の重症患者に対し、多職種チームが連携して計画的な支援を行った場合に、月1回算定できます。

医療機関と訪問看護ステーションが協力し、支援計画を共同で作成・評価する取り組みを評価するものです。詳細な算定要件は告示・通知をご確認ください。

この加算により、重症の精神疾患を持つ方への包括的な地域支援が制度面からも後押しされることとなりました。

8. 訪問看護情報提供療養費 — 地域連携を支える3つの区分

訪問看護情報提供療養費は、利用者さんの同意を得たうえで関係機関に情報を提供した場合に算定できます。3つの区分があり、それぞれ提供先と算定頻度が異なります。

区分情報提供先算定頻度金額
1市区町村・都道府県等(保健所、精神保健福祉センター等)月1回1,500円
2学校・保育所等の教育関連施設原則年1回(※)1,500円
3医療機関等(入院・転院先など)月1回1,500円

※学校等への情報提供は原則年1回ですが、詳細は告示・通知をご確認ください

精神疾患のある方の在宅生活を支えるには、医療・介護・福祉・地域のネットワークが欠かせません。ケアマネジャーやPSWと訪問看護が情報を共有することで、孤立しがちな方の支援ネットワークを強化できます。

9. 加算活用の全体像まとめ

加算名こんな時に活用算定額
複数名精神科訪問看護加算暴力リスクや身体的理由で複数名の訪問が必要な場合職種の組合せにより異なる
長時間精神科訪問看護加算90分超の訪問が必要な場合(退院直後等)5,200円
夜間・早朝 / 深夜加算利用者の生活リズムに合わせた時間帯の訪問2,100円 / 4,200円
精神科緊急訪問看護加算緊急連絡に基づく計画外の訪問イ:2,650円 / ロ:2,000円
精神科重症患者支援管理連携加算多職種チームによる重症患者への計画的支援告示・通知を確認
訪問看護情報提供療養費市区町村・学校・医療機関等への情報提供各1,500円

10. 府中よりそい訪問看護ステーションの取り組み

当ステーションは精神科訪問看護に特化したチームとして、青栁先生(医療顧問・認知症専門医)との連携のもと、利用者さん一人ひとりに合った看護の提供に努めています。

複数名訪問や緊急対応についても、主治医と相談のうえ柔軟に対応いたします。「この方に訪問看護が合うかどうかわからない」「加算の使い方を相談したい」など、お気軽にご連絡ください。

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府中よりそい訪問看護ステーション お問い合わせページ
東京都府中市 / 精神科訪問看護専門 / ケアマネ・PSWの方からの連携相談を歓迎しています


【免責事項】本記事は精神科訪問看護の加算制度に関する一般的な解説を目的としたものです。算定要件の詳細は、厚生労働省の告示・通知および各地方厚生局の取扱いを必ずご確認ください。本記事は令和6年度(2024年度)診療報酬改定の内容に基づき作成しています(2026年3月現在)。なお、令和8年度(2026年度)診療報酬改定は2026年6月施行予定であり、施行後は加算の名称・算定額・要件等が変更される可能性があります。最新の情報は厚生労働省ホームページ等でご確認ください。

作成:府中よりそい訪問看護ステーション 広報担当

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