本人が受診していなくても相談できる?家族だけの相談から始める方法【Vol.61】


「本人はまだ病院にかかっていないのですが、家族だけで相談してもいいのでしょうか」。精神科訪問看護のご相談で、実はとても多くいただくお問い合わせです。ご本人が受診を嫌がっている、そもそも本人は困っていない様子で家族だけが心配している。そんな状況で「本人を連れて行けないから相談もできない」と、ひとりで抱え込んでいるご家族は少なくありません。

結論から言うと、ご本人がまだ受診していなくても、ご家族だけのご相談から始めていただけます。この記事では、府中よりそい訪問看護ステーションが、家族だけの相談でできること、訪問看護が始まるまでの道のり、そして府中市で使える相談窓口を、制度の正直なところも含めて整理してお伝えします。

結論:ご家族だけのご相談から、始めていただけます

当ステーションでは、ご本人が同席されなくても、受診がまだでも、ご家族だけからのご相談を受けています。初回のご相談は無料です。「相談したら契約しないといけないのでは」と身構える必要はありません。お話をうかがって、いま使える選択肢を一緒に整理するところまでで終わっても、まったくかまいません。

ただしひとつ、最初に正直にお伝えしておきたいことがあります。それは「相談」と「訪問看護サービスの開始」は別のステップだ、ということです。次の章でご説明します。

「本人が受診していない」とき、訪問看護はどうなる?|制度の正直な話

精神科訪問看護は、主治医(精神科の医師)が交付する「精神科訪問看護指示書」に基づいて行う制度です。そのため、ご本人がまだ医療機関を受診していない段階では、指示書を出してくれる主治医がいないことになり、訪問看護サービスそのものを始めることはできません

「じゃあ相談しても意味がないのでは」と思われるかもしれませんが、そうではありません。むしろ逆です。本人が受診していない段階だからこそ、家族だけの相談から始める意味があります。どのような医療機関の選択肢があるのか、本人にどう切り出すか、受診までのあいだ家族はどう関わればいいか。この「受診より手前」の段階には、家族だけで考えるには重すぎる悩みがたくさんあるからです。

なお、制度上、精神科訪問看護は「精神疾患を有する方またはそのご家族等」への訪問・相談支援も対象に含まれています。訪問看護が始まったあとは、ご家族のお悩みを看護師に相談することも制度の範囲内です。ご家族への支援は、おまけではなく訪問看護の仕事の一部です。

ご家族だけの相談でできること

ご本人がいない状態でのご相談で、実際にできることは想像より多くあります。

  • 状況の整理:いつごろから、どんな様子なのか。お話をうかがいながら、いま何がいちばん心配なのかを一緒に言葉にしていきます
  • 受診先の選択肢の情報提供:お住まいの近くで利用できる医療機関の選択肢を一緒に整理します。精神科と心療内科の違い、外来と訪問診療の違いといった基本からで大丈夫です
  • 本人への切り出し方のヒント:受診や支援の話をどう持ちかけるか。ご本人の性格や状況に合わせて一緒に考えます
  • ご家族自身のケア:ご家族が疲れきってしまっては共倒れになりかねません。ご家族が使える窓口や、抱え込まないための考え方もお伝えします

ご家族からいただくご質問とその答えは、ご家族からよくある質問10(Vol.35)にもまとめています。「本人が来ないでほしいと言っている」「病名がはっきりしていない」といった、この記事と地続きのご質問にお答えしています。

ご相談から訪問開始までの道のり

ご家族だけの相談から訪問看護が始まるまでは、おおまかに次のような流れになります。

  1. ご家族だけのご相談:お電話やお問い合わせフォームから。状況の整理と選択肢のご案内をします
  2. ご本人の受診:精神科を標榜する医療機関(心療内科をあわせて掲げるクリニックを含みます)へ。ここで主治医が決まります
  3. 主治医による指示書の交付:医師が「在宅での看護が必要」と判断すると、精神科訪問看護指示書が交付されます。書類のやりとりは当ステーションがお手伝いしますので、ご家族の負担は最小限で済むことがほとんどです
  4. ご契約・訪問開始:ご本人・ご家族と顔合わせをして、訪問の曜日や頻度を一緒に決めます

いちばん時間がかかるのは、多くの場合ステップ2、つまりご本人が受診に至るまでです。ここは焦らず、数週間から数か月単位で構えるくらいでちょうどいい、と私たちは考えています。そのあいだ、ご家族が定期的に相談できる場所を持っておくことが、遠回りに見えて近道になります。

本人に受診をすすめるとき、心にとめておきたいこと

受診の話を切り出すときは、「病気だから病院に行こう」と正面から説得するより、ご本人がいま困っていることを入り口にするほうが受け入れられやすい、と言われています。眠れない、体がだるい、食欲がない。こうした体の不調は、ご本人にとっても自覚しやすく、「眠れないのがつらそうだから、一度相談してみない?」という誘い方なら、心のハードルが下がることがあります。

逆に、追いつめられたご家族が「いいかげんにして」とぶつかってしまい、ご本人がますます頑なになる、という悪循環もよく起こります。それはご家族が悪いのではなく、それだけ余裕を失うほど頑張ってこられた、ということです。ご家族の関わり方については、家族ができること・がんばらなくていいこと(Vol.43)でくわしくお伝えしています。

訪問看護以外でご家族が相談できる窓口|府中市の場合

ご家族だけの相談を受けているのは、訪問看護ステーションだけではありません。保健所や精神保健福祉センターは、ご家族からの相談に応じることが精神保健福祉法という法律で位置づけられており、ご本人が未受診の段階でも相談できます。府中市の方が使える主な窓口をご紹介します。

  • 東京都多摩府中保健所(042-362-2334):府中市を管轄する都の保健所。保健師によるこころの相談のほか、専門医による精神保健相談、ひきこもり等のご家族向けグループも行っています
  • 府中市 健康推進課(042-368-6511・保健センター内):こころとからだの悩みや、医療機関のご案内に関する市の相談窓口です
  • 東京都立多摩総合精神保健福祉センター こころの電話相談(042-371-5560・平日9時から17時):多摩地域全域を担当する都の専門機関。ご家族の対応に困っている方からの電話相談にも応じています
  • 地域生活支援センター(「ふらっと」「プラザ」など):障害のある方とそのご家族のための相談機関。障害者手帳の有無や受診の有無にかかわらず相談できます
  • 地域包括支援センター(市内11か所):おおむね65歳以上の方に関するお悩みは、ご家族からも相談できます
  • 東京都医療機関案内サービス「ひまわり」(03-5272-0303・24時間):悩み相談ではなく、「いまから受診できる医療機関」を探すための案内サービスです。夜間や休日に受診先を探すときに使えます

府中市の精神科医療の全体像(相談・通院・在宅ケア・緊急時の窓口)は、府中市の精神科医療マップ(Vol.37)で5カテゴリに整理しています。どこに何を相談すればいいか迷ったときの地図としてお使いください。

当ステーションへのご相談方法

府中よりそい訪問看護ステーションへのご家族だけのご相談は、お電話またはお問い合わせフォームで受けています。「何から話せばいいか分からない」という状態のままで大丈夫です。うかがいながら一緒に整理していきます。

府中よりそい訪問看護ステーション
電話:042-508-3434(受付 9:00から18:00)
お問い合わせフォーム(24時間受付)
府中市を中心に、近隣の多摩地域へお伺いしています(対応エリアの確認はこちら)。初回のご相談は無料です。

なお、他のステーションや医療機関に相談して受け入れが難しかった場合の考え方は、精神科訪問看護を断られたら(Vol.59)でお伝えしています。断られても、そこで終わりではありません。

まとめ:ご家族が最初の一歩でかまいません

ご本人がまだ受診していなくても、ご家族だけの相談から始められます。訪問看護サービスの開始には主治医の指示書が必要なため、すぐに訪問が始まるわけではありませんが、受診より手前の段階でこそ、状況の整理・受診先の選択肢・本人への切り出し方といった「家族だけで抱えるには重い悩み」を一緒に考えることができます。

ご本人が動けるようになるまで待つあいだも、ご家族はひとりで待つ必要はありません。当ステーションでも、保健所や市の窓口でも、どこか話せる場所をひとつ持っておいてください。ご家族が最初の一歩を踏み出すことは、抜けがけでも裏切りでもなく、ご本人を支える土台づくりです。

よくあるご質問

本人抜きで、家族だけで訪問看護の契約はできますか?

訪問看護はご本人への医療サービスのため、開始には主治医の指示書が必要で、ご本人の受診が前提になります。ご家族だけで契約まで進めることはできませんが、開始前のご相談はご家族だけでできます。

家族だけの相談にお金はかかりますか?

当ステーションへの初回のご相談は無料です。保健所・精神保健福祉センター・市の窓口などの公的な相談窓口も、無料で利用できます。

本人に内緒で相談してもいいですか?

かまいません。ご相談いただいたことを、こちらからご本人へ一方的にお伝えすることがないよう配慮しています。ご本人にいつ・どう伝えるかも含めて、一緒に考えていきます。

本人が受診を拒否し続けるときはどうすればいいですか?

説得を急がず、ご本人が困っていること(眠れない・だるいなど)を入り口にするのがひとつの方法です。保健所ではご家族向けの相談やグループもあります。ご家族だけでも定期的に相談を続けることをおすすめします。

どこに相談すればいいか分からないときは?

まずは1か所で大丈夫です。当ステーション(042-508-3434)でも、府中市健康推進課や多摩府中保健所でも、うかがった内容に応じて適した窓口をご案内します。たらい回しにならないよう一緒に整理します。

\ 最新情報をチェック /

この記事を読んでくださった、ご家族へ

府中市・近隣エリアで訪問看護をお探しですか?
認知症専門医・青栁先生連携の地域密着ステーションです。
初回ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

ケアマネ・PSWの皆さまへ

ご利用者のご紹介・連携相談を承っております。
精神科・認知症ケアの実績と、青栁先生連携の地域連携を強みにしています。

精神科訪問看護に興味のある方へ

看護師・OT・PSWの皆さま、私たちと一緒に働きませんか。
青栁先生連携の精神科特化チーム。
カジュアル面談も歓迎です。


Back to top