【Vol.46】訪問看護医療情報連携加算とは?|2026年6月新設・ICT多職種連携の新加算を算定要件・施設基準からわかりやすく解説|府中よりそい訪問看護


訪問看護医療情報連携加算を解説するアイキャッチ画像(ICT多職種連携のネットワーク図)

2026年(令和8年)6月の診療報酬改定で、訪問看護に新しい加算が生まれました。「訪問看護医療情報連携加算」です。

これは、主治医やケアマネジャー、薬剤師などの多職種がICT(情報通信技術)を使って記録した利用者の医療・ケア情報を、訪問看護師が取得・活用して計画的な管理を行ったことを評価するものです。在宅医療の現場でも「医療DX」が本格的に動き出したことを示す改定といえます。

この記事では、厚生労働省の説明資料をもとに、点数・算定要件・施設基準をできるだけ原文に忠実に整理します。ケアマネジャーや他職種の方が「これって何が変わるの?」と知りたいときの参考にしていただければと思います。

本記事の数値・要件は、厚生労働省 保険局医療課「令和8年度診療報酬改定について【訪問看護ステーション向け】」(令和8年3月10日版)p.33 に基づいています。出典は記事末尾に記載します。

どんな加算?(点数・算定単位)

厚生労働省の説明資料では、次のように定められています。

  • 訪問看護医療情報連携加算:1,000円(月1回)
  • 医療保険の訪問看護に対する加算

「他の保険医療機関等の関係職種がICTを用いて記録した利用者に係る診療情報等を活用したうえで、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合の評価」として新設されました(厚労省説明資料 p.33)。

月1回という小さな加算ですが、「体制を整えること」ではなく「実際に多職種で情報をやりとりして活かしたこと」を評価する点に、今回の改定の方向性が表れています。

なぜ新設されたのか——「体制」から「連携の実績」へ

これまでの医療DX関連の加算は、システムや体制が整っているかを評価する側面が強いものでした。今回の医療情報連携加算は、整えた仕組みを使って、実際に多職種で情報を共有・活用したかに踏み込んでいます。

在宅で療養される方は、医師・薬剤師・ケアマネジャー・訪問看護など多くの専門職が関わります。それぞれが持つ情報がICTでつながれば、利用者やご家族が同じ説明を何度も繰り返さずに済み、状態の変化にもチームで早く気づけます。その「つながり」を後押しする加算だといえます。

算定要件(概要)

厚労省説明資料 p.33 では、主な算定要件として次の点が挙げられています。

  • 医療関係職種等により記録された利用者の医療・ケアに関わる情報を取得・活用したうえで計画的な管理を行うこと。あわせて、看護師等が訪問看護を行った際の診療情報等を記録し、医療関係職種等に共有することについて、利用者から同意を得ていること
  • 以下の情報を記録すること
    • 次回の訪問看護の予定日、および訪問看護計画の変更の有無(必要に応じて)
    • 訪問看護計画の変更の概要(変更がある場合)
    • 利用者のケアを行う際の留意点(共有が必要と判断した場合)
    • 人生の最終段階における医療・ケアおよび病状急変時の治療方針についての希望(利用者やご家族から取得した場合)
  • 訪問看護を行う際に、過去90日以内に記録された利用者の医療・ケアに関する情報(特別の関係にある保険医療機関等が記録した情報を除く)を、ICTを用いて取得した情報が1つ以上であること

ポイントは、利用者ご本人の同意が前提になっていること、そして「特別の関係」(同一法人など)にある機関の情報は要件のカウントから除かれることです。

施設基準(概要)——連携機関「5以上」と掲示・ウェブ掲載

算定するためには、施設基準を満たして地方厚生局へ届け出る必要があります。厚労省説明資料 p.33 では、主に次の体制が求められています。

  • 利用者の診療情報等について連携機関とICTを用いて共有し、常に確認できる体制を有すること
    • 診療情報等が連携機関間の協議に基づき一元的に管理されたサーバーで保管されていること
    • 共有は、利用者が同意した参加者(利用者・家族・連携機関)のみで行われること
    • 参加者の範囲を随時設定でき、診療情報等を常時閲覧・取得でき、利用者ごとに時系列で速やかに表示されるICTを用いること
    • 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を参考とすること
  • 連携機関(特別の関係にあるものを除く)の数が5以上であること
  • ICTを用いた連携体制を構築している訪問看護ステーションであることについて、ステーションの見やすい場所に掲示し、その掲示事項を原則としてウェブサイトに掲載していること

経過措置

ウェブサイト掲載については、令和8年9月30日までの間に限り、基準に該当するものとみなされます(厚労省説明資料 p.33)。

「連携機関が5以上」というハードルは小規模なステーションには簡単ではありません。だからこそ、平時からの多職種連携の土台づくりが問われる加算になっています。

ケアマネジャー・他職種の皆さまへ——何が変わる?

この加算は訪問看護側の評価ですが、実際に動くのは多職種の「情報のつながり」です。ICTでの情報共有が進むと、現場ではこんな変化が期待されます。

  • 利用者やご家族が、同じ説明を何度も繰り返さずに済む
  • 状態の変化や訪問看護計画の見直しが、関係者にすばやく伝わる
  • 急変時の治療方針の希望なども、チームで共有しやすくなる

裏を返せば、加算の有無にかかわらず「平時からの顔の見える連携」が土台になります。日々の情報共有を丁寧に積み重ねることが、利用者にとっての安心につながります。

おわりに——当ステーションの連携の取り組み

府中よりそい訪問看護ステーションは、東京都府中市で精神科訪問看護に特化したチームです。医療顧問の青栁先生とも連携しながら、利用者お一人おひとりの在宅生活を支えています。

ICTを活用した多職種連携については、当ステーションでも連携先を広げているところです。地域の医療機関・薬局・居宅介護支援事業所の皆さまと、平時からの情報共有を大切にしていきたいと考えています。連携についてのご相談も歓迎しております。

お問い合わせ
☎ 042-508-3434(受付 平日9:00-18:00)
お問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

参考・出典(公的資料)

※本記事は2026年6月時点の公開情報に基づく制度解説です。算定要件・施設基準の詳細や最新の取り扱いは、必ず厚生労働省の告示・通知、および地方厚生局の案内をご確認ください。

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