
「会社に行こうとすると、朝、どうしても体が動かなくなる」
「『甘えてるんじゃないか』『怠けじゃないか』と、自分を責めてしまう」
「家族が心配してくれているのはわかるけれど、何をしてほしいか自分でもわからない」
府中市で精神科訪問看護を続けている私たちのところには、適応障害で休職中の方や、そのご家族から、こんな声が日々寄せられます。
適応障害は、「弱いから起きる病気」ではありません。
ご本人にとっての環境のストレスと、こころと体の限界が重なってしまった結果、休むことが必要なサインが出ている状態です。
このページでは、府中よりそい訪問看護ステーションが、適応障害のご本人とご家族のことへ思いを込め、毎回の訪問で大切にしていることを、3つのポイントにまとめてお伝えします。
「訪問看護に何をお願いできるのか」「ケアマネジャーや主治医に相談する前に、雰囲気を知っておきたい」というご家族にも、読んでいただきたい内容です。
適応障害の訪問看護って、実際に何をしてくれるの?
「訪問看護」と聞くと、点滴や傷の処置のような医療処置をイメージされる方もいらっしゃいます。
でも、適応障害の訪問看護で実際にしているのは、ご本人の暮らしを支えるための、もっと地続きで、もっと細やかなことです。
たとえば、こんなことをしています。
- 体調・睡眠・食欲・気力の様子を確認し、「いつもと違う」変化に早く気づく
- 服薬がきちんと続けられているか、飲み忘れ・飲み間違いがないか一緒に確認する
- 朝起きる、食事を摂る、外に出るといった「小さな毎日のリズム」を、ご本人の今のペースで一緒に整えていく
- ご本人から「最近こんなことがあって…」というお話をていねいに聞き、対応を一緒に考える
- 必要に応じて、主治医・ご家族・産業医・職場の人事担当者と情報を共有する
「治療」というよりも、「暮らし」のとなりに立って、ご本人と一緒に、安全な毎日を作るお手伝い。
それが、適応障害の訪問看護で私たちがやっていることです。
訪問看護が毎回大切にしている3つのこと
適応障害のあるご本人への訪問看護で、私たちが特に大切にしていることが、3つあります。
①「頑張れ」と言わず、休む環境を一緒に整える
適応障害で休職している方の多くは、休んでいることそのものに、罪悪感を抱えていらっしゃいます。
「みんなは普通に働いているのに、自分だけ休んでいる」「家族に申し訳ない」「給料をもらっていないのに、何もできていない」――。
そんな自分への厳しい言葉が、回復をかえって遅らせる大きな要因になります。
だからこそ、訪問看護師は「頑張れ」「早く戻れるといいね」とは言いません。
「いま、休むことがいちばんの仕事です」「お薬を飲んで、ご飯を食べて、眠ること。それだけで100点です」――そう、ご本人にていねいに伝えていきます。
そして、休むための環境を一緒に整えていきます。
- 朝起きられない日があってもいい、と思える時間の使い方
- ご家族から「頑張れ」と言われすぎてしまうときの伝え方
- スマートフォンや仕事のメールから、少し距離を置く工夫
「頑張らない」という選択を、ご本人とご家族の両方が安心して選べるようにする。
それが、最初に大切にしていることです。
②生活リズムを”本人の今”のペースで再構築する
適応障害で休んでいらっしゃる方は、生活リズムが大きく崩れていることが少なくありません。
夜眠れず、昼夜逆転に近い状態。食欲がなくて、食事の時間がばらばらになる。一日中布団から出られない。
そんな状態から、無理に「規則正しい生活」に戻そうとすると、回復どころか悪化させてしまうこともあります。
訪問看護師は、ご本人の「今のペース」から始めます。
- いま何時ごろに起きていますか?
- 食欲はどうですか?
- 一日のうち、いちばん落ち着く時間はいつですか?
ご本人の今を確認したうえで、ほんの小さな一歩を一緒に決めていきます。
たとえば「明日の朝、カーテンだけ開けてみる」「食事の量は今のままで、時間だけ少しそろえてみる」「散歩を5分だけ、玄関の外まで出てみる」。
ご本人が「これならできそう」と思えるところから、生活のリズムを少しずつ取り戻していきます。
ご本人のペースを守ること。それが、回復への一番の近道だと、私たちは考えています。
③復職・休職延長の判断サインを、ご本人と主治医に伝える
適応障害の支援では、「いつ復職するか」「休職を延長するか」が、大きな分岐点になります。
ただ、その判断はご本人だけが抱えるものではありません。主治医、産業医、ご家族、そして訪問看護師がチームで一緒に考えていくものです。
訪問看護師は、毎回の訪問で次のような変化を観察し、ご本人や主治医にお伝えしています。
- 朝起きられる日が増えてきた/逆に減ってきた
- 仕事のことを考えると、動悸や涙が出てしまう状態が続いているか
- 「人と話したい」「外に出たい」と思える日が出てきたか
- 食欲・体重・表情の変化
- 「復職したい」「もう少し休みたい」というご本人の本音
これらの変化を、訪問看護報告書として記録し、主治医面談の前にケアマネジャー・産業医・人事担当者とも共有することがあります。
復職の判断は最終的には主治医が行いますが、その判断材料として、毎日の暮らしのなかで見えていることを伝えるのが、私たち訪問看護師の役割です。
30分の訪問で、実際にしていること
1回の訪問は、おおむね30分程度です。
そのなかで、たとえば次のようなことをしています。
- 体温・血圧・脈拍などのバイタル確認
- 睡眠・食事・気分・体調・服薬状況のヒアリング
- 「最近、どんなことがあったか」をご本人のペースでお聞きする
- 必要に応じて、職場・産業医・主治医とのやり取りを一緒に整理する
- ご家族から見た最近の様子のヒアリング(同居のご家族がいらっしゃる場合)
- 気になる変化があれば、主治医やケアマネジャーへの連絡相談
「30分でそんなにできるの?」と思われるかもしれませんが、毎週・毎週の積み重ねで、ご本人の状態の細かな変化に気づくことができます。
変化に早く気づければ、再休職や悪化を未然に防げる場合があります。
復職支援と、青栁先生との連携体制
府中よりそい訪問看護ステーションのいちばんの強みは、認知症専門医・青栁先生(精神科領域でも連携)との体制にあります。
青栁先生は、長年、認知症医療と精神科医療の両方の臨床に携わってこられた医師です。当ステーションは青栁先生と日々情報を共有しながら、適応障害のあるご本人へのケアの質を保っています。
復職支援については、次のような連携を行っています。
- 「最近、夜眠れない日が続いている」「朝の動悸が強くなってきた」といった気になる変化を、訪問看護師から主治医へ報告
- 復職の見通しを主治医・産業医と検討する際の参考資料として、訪問看護記録として情報を整理
- ご家族が抱えていらっしゃる困りごとを、医療側にも橋わたし
「適応障害のことを、安心して相談できるところが近くにない」――そう感じていらっしゃるご本人やご家族のために、私たちは医療と暮らしのあいだをつなぐ役割を大切にしています。
ご利用までの流れと費用
適応障害の訪問看護は、原則として、医療保険でのご利用となります。精神科の主治医(精神科・心療内科)から「精神科訪問看護指示書」を発行していただき、訪問看護をご利用いただくかたちです。
費用については、医療保険でのご利用であれば、原則1〜3割の自己負担で訪問看護を受けていただけます。所得に応じた高額療養費制度や、自立支援医療制度(精神通院医療)の対象となる場合もあり、自立支援医療を利用すると、自己負担が原則1割になります。月額上限の設定もあるため、安心してご利用いただける制度です。
主治医の先生からの「訪問看護指示書」と、ご本人のご希望をもとに、訪問の曜日・時間帯をご家族とも相談しながら決めていきます。
「うちの場合は医療保険で使えるのかな」「主治医に、なんと相談していいかわからない」というかたは、お電話・お問い合わせフォームのどちらでも、ご本人にとって楽な方法でご連絡いただけます。
制度の使い方や利用までの流れも、ていねいにお伝えします。
府中よりそい訪問看護ステーションの特徴
府中よりそい訪問看護ステーションは、精神科・認知症ケアに特化した訪問看護チームです。
府中市・調布市・国分寺市を対応エリアとして、精神科・認知症ケアの経験を重ねた看護師・作業療法士が、ご本人とご家族の暮らしに寄り添っています。
適応障害のあるご本人とご家族への訪問看護では、次のような体制を整えています。
- 認知症専門医・青栁先生(精神科領域でも連携)との体制:日々情報を共有しながら、ケアの質を保っています
- 主治医・ご家族・支援機関(必要に応じて産業医や職場)との連携を最重視:ご本人を中心に、関係者がチームになって支えるのを大切にしています
- ご家族の困りごとにも、同じ目線で関わる:ご本人へのケアと同じように、ご家族のお気持ちにもていねいに耳を傾けます
「適応障害のことを、誰に・どう相談していいかわからない」というご本人・ご家族こそ、まずは一度ご連絡ください。
すぐに訪問看護を始めなくても大丈夫です。お話を伺いながら、いまのご本人にとっていちばんよい形を一緒に考えます。
まとめ
適応障害の訪問看護で、私たちが大切にしているのは、次の3つです。
- 「頑張れ」と言わず、休む環境を一緒に整える
- 生活リズムを”本人の今”のペースで再構築する
- 復職・休職延長の判断サインを、ご本人と主治医に伝える
そして、このすべてを支えているのが、認知症専門医・青栁先生との連携の太さと、主治医・ご家族・支援機関とのチームでの関わりです。
適応障害は、ご本人にとっても、ご家族にとっても、ある程度時間をかけて回復していくものです。
「頑張らなくていい」「もう少し休んでいい」と伝えたい時に、私たち訪問看護師にも、その時間の一部を一緒に過ごさせてください。
よくある質問
Q1. 適応障害の診断がついて、まだ休職したばかりです。すぐ訪問看護を使えますか?
A. はい、診断書と主治医からの精神科訪問看護指示書があれば、休職開始直後からご利用いただけます。「まだ動けないので、まずはご家族と看護師で打ち合わせしたい」というご相談にも応じています。最初の訪問は無理のない時間帯・短時間から、ご本人のペースに合わせて始めることができますので、お気持ちが揺れていらっしゃる段階でも、まずはご相談ください。
Q2. 医療保険ですか?介護保険ですか?費用はどのくらい?
A. 適応障害の訪問看護は、原則として医療保険でのご利用です。精神科主治医からの「精神科訪問看護指示書」をもとに訪問します。自立支援医療制度を利用すると自己負担が原則1割となり、所得に応じた月額上限の設定もあります。具体的な費用感は、所得状況やご家族の構成によって異なりますので、個別にていねいにご案内します。
Q3. 復職の判断は、誰がするのですか?訪問看護はどう関わるの?
A. 復職の最終判断は主治医(および会社の産業医)が行います。訪問看護師は、毎回の訪問で観察した日々の変化や、ご本人・ご家族の声を「訪問看護報告書」として記録し、主治医面談の参考材料として情報を共有します。ご本人が「復職したい」「もう少し休みたい」というお気持ちを医療者に伝えるサポートもできます。
Q4. 家族(配偶者・親)として、何を相談したらいいですか?
A. ご家族から「本人にどう声をかけていいかわからない」「家族の負担がもう限界に近い」というご相談をよくお受けします。ご本人へのケアと同時に、ご家族のお気持ちにもていねいに耳を傾けることを、私たちは大切にしています。「うちの場合は何ができるのか」「ご家族として何を準備すればよいか」など、訪問の曜日・時間帯を含めて、楽な方法でご連絡いただけます。
適応障害でとまどっていらっしゃる方、ご家族としての関わり方に迷っていらっしゃる方は、府中よりそい訪問看護ステーションまで、ご連絡ください。
お電話でも、お問い合わせフォームからでも、看護師がていねいにお話を伺います。
