府中市の精神科訪問看護|認知症・うつ病・発達障害対応

新設加算まとめ ― ICT連携・包括型・機能強化型の新評価


2026年改定における新設加算の概要

2026年の診療報酬改定では、訪問看護ステーションの専門性と機能をより細かく評価するための新しい加算が複数設置されました。これらの加算は、単なる報酬の上乗せではなく、高度な医療ニーズへの対応、地域連携の強化、特定の疾患に対する専門的な対応を評価するものです。本記事では、これら新設加算の詳細と、訪問看護ステーションがこれらの加算を取得するための要件、そして経営面での意義を解説します。

新設加算には、ICT(情報通信技術)を活用した医療機関との情報共有を促進する「訪問看護医療情報連携加算」、精神科領域での対応能力を評価する「機能強化型訪問看護管理療養費4」、そして前号で紹介した「包括型訪問看護療養費」があります。さらに、特定の疾患や年齢層への対応も新たに評価されるようになり、訪問看護の多様な機能がより適切に報酬体系に反映されています。

改定のキーワード:「専門性の可視化」と「地域連携の強化」。新設加算は、訪問看護ステーションが地域医療の中でどのような役割を担っているかを、診療報酬として評価するものです。

訪問看護医療情報連携加算 ― デジタル連携で医療を繋ぐ

2026年改定で注目される新加算が「訪問看護医療情報連携加算」です。この加算は月1回、1,000円の評価ですが、その意義は単なる点数だけではありません。医療機関と訪問看護ステーションの情報連携を、デジタル化による標準的な方法で実施することの重要性を示しています。

具体的には、ICTで記録された利用者の医療・ケア情報を取得し、それらの情報を活用して利用者の健康状態の計画的管理を行います。そして、取得した情報に基づいて実施した訪問看護の診療情報を記録し、医療関係職種等に共有するプロセスが評価されます。これは、従来の紙ベースの情報伝達ではなく、リアルタイムでの情報共有を前提としています。

この加算の施設基準として「連携機関5以上」という要件があります。これは、単一の医療機関との連携ではなく、地域内の複数の医療機関と情報ネットワークを構築することの重要性を示しています。令和8年9月30日までは経過措置として、ウェブサイト掲示による要件緩和がありますが、最終的には実質的な連携体制の構築が求められます。

1,000円
訪問看護医療情報連携加算
(月1回)

5機関以上
連携機関数の
基準

機能強化型訪問看護管理療養費4 ― 精神科領域への新たな評価

精神障害のある利用者に対する訪問看護は、身体疾患と異なり、生活支援の側面がより重要になります。2026年改定では、地域と連携して精神科訪問看護を提供するステーションを新たに評価する「機能強化型訪問看護管理療養費4」が設置されました。月の初日に9,030円が加算されます。

この加算の背景には、精神保健福祉施策の地域シフトがあります。これまで精神病院への入院に頼ってきた精神保健医療を、できる限り地域で支えるという方針転換が進む中、訪問看護ステーションの役割が格段に重要になっています。しかし、すべての訪問看護ステーションが精神科対応に十分な体制を整えているわけではないため、特に対応能力が高いステーションを評価する必要があるのです。

加算の要件は以下の通りです。第一に「常勤看護職員4人以上」という体制要件です。これにより、複数の利用者への対応、人事異動時の対応力、研修・教育体制の充実が可能になります。第二に「看護職員6割以上」という専門性要件です。特に精神科領域では、精神科看護の専門知識が重要です。

さらに重要な要件として「24時間対応体制加算の届出」があります。精神障害のある利用者は、危機的な状況が予測しにくく、急な対応を要することが少なくありません。24時間体制での対応能力が、実質的な利用者支援を実現します。また「精神障害等の重点的支援を要する利用者の受入れ」という要件も、このステーションが実際に精神科領域の複雑なケースに対応していることを示しています。

精神科対応の意義:精神科訪問看護の充実は、地域における精神保健福祉の大きな課題です。適切な評価と報酬があることで、訪問看護ステーションが精神科領域への投資を行いやすくなります。

包括型訪問看護療養費 ― 利用者のニーズに合わせた柔軟な提供

Vol.5で詳しく解説した「包括型訪問看護療養費」も、今回の改定における重要な新設加算です。月額で報酬が決まる方式で、訪問回数が変動しても報酬が変わらないため、利用者のニーズに応じた柔軟な訪問計画が可能になります。

この加算が設置された背景には、現行の訪問回数ごとの報酬体系では、訪問回数を増やすことへのインセンティブが生じやすいという課題があります。一方、包括型であれば、月額報酬の範囲内で、利用者に最も必要な訪問内容を優先的に提供することができます。

難治性皮膚疾患と乳幼児への対応拡大

改定では、特定の疾患や年齢層への対応も評価の対象が拡がっています。難治性皮膚疾患(例えば褥瘡や創傷ケアが必要な皮膚疾患)を持つ利用者については、これまでよりも多くの訪問回数が算定できるようになりました。具体的には「訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象に追加」されたという形で評価が拡大されています。

このような対応の拡大は、医学的に複雑で手厚いサービスを要する利用者への支援体制が、診療報酬体系にも反映されたということです。同様に、乳幼児加算が1,300円から1,400円に引き上げられたことも、乳幼児への訪問看護が特に高度な知識と技術を要することの認識を示しています。

新設加算は、訪問看護ステーションの多様な機能と専門性を正当に評価するための仕組みです。

各ステーションの特性を活かした加算取得で、より質の高い地域医療が実現します。

施設管理者・マネジメント向けのポイント

  • 訪問看護医療情報連携加算の戦略性:月1回1,000円と小さな加算に見えますが、複数利用者への適用で、また連携機関の構築投資と考えると、地域医療の中での位置づけを高める重要な要素です。ICTシステムの整備投資を検討する時期です。
  • 機能強化型訪問看護管理療養費4の採算性:月初9,030円の加算を取得するには、常勤4人以上の体制整備、24時間対応体制加算の届出など、固定費が増加します。ただし、精神科領域への対応は、今後の地域医療の大きなニーズです。中長期的な経営戦略として検討する価値があります。
  • 包括型訪問看護療養費の対象者選定:包括型と従量制の併用運営が必要になる可能性があります。どの利用者が包括型の対象となるかは、利用者のニーズ評価と経営判断が求められます。
  • 難治性皮膚疾患対応への専門性:褥瘡ケアや創傷管理の専門知識を持つ看護職の確保・育成が、競争力の源泉になります。研修投資の優先順位を高めるべき分野です。
  • 乳幼児加算の利点:引き上げ額は小さいですが、小児・乳幼児対応ステーションの評価として、採用・定着面でのアピールポイントになります。
  • 加算の複合取得:複数の加算を同時に取得することで、経営効率を高めることができます。特に機能強化型+ICT連携加算など、相乗効果を生む加算の組み合わせを検討しましょう。

参考資料・出典

  • 厚生労働省「09_質の高い訪問看護の推進」pp.9-12,16
  • 厚生労働省「訪問看護ステーション向け」pp.15-20

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